若いころ、私は人を怒らせてしまう癖がありました。といっても、何か嫌なことをいうわけではありません。むしろやりすぎなほど、相手に対して気をつかっていたのです。
ところが、なぜか相手が怒り出すことがあった。私の自信なさげな態度が、相手をイライラさせたのでしょう。
昔は、はっきりものをいうことができなかったのです。いつもボソボソ喋って、何をいっているのかわからない。質問も苦手でした。ちゃんと話すことができないため、また相手を怒らせやしないかとビクビクしていたからです。
しかしそもそも、なぜ自信がなかったのでしょうか。
なぜか自信がなかった、あのころの自分

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結局わからないまま仕事を進めて、失敗することも多かった。こうなると悪循環ですね。「どうして聞かないんだ」と何度注意されたことか。それでも、できなかったのです。「(あなたにとっては簡単でも、僕にとっては難しいことなんだ)」といつも心で叫んでいました。
しかしさすがにこれではまずいと思い、できるだけはっきりと話すように心がけて、多少はましになりました。でもまだまだ不十分。
通常の質問でもこんな感じですから、聞きにくいことを聞く場合はなおさらそうですね。断ることも苦手でした。何でもハイハイと引き受けて、後で困ったことになることもしばしば。そのうち、集団行動もイヤになりました。
飲み会や宴会は、最悪でしたね。もちろん楽しめないし、始まった瞬間に「早く終わらないか」とそればかり考えていました。そろそろ終わりかと思って時計を見たら、まだ1時間しか経っていなくてショックだった。宴会で騒いでいる人を見ると、まるで宇宙人のように感じたものです。
やっと宴会が終わったと思ったら、「おい二次会に行くぞ」と先輩がいう。こうなると最悪に輪をかけた状態です。どうしても参加したくなかったので、気づかれないように逃げ出したことも何度もあります。
宴会ならまだしも、日常生活ではやはり人付き合いは避けられません。「(どうして僕はいつもオドオドしているんだろう)」と悩みました。
そして、自分に自信がないからだとわかりました。しかしなぜ自信がないのかもよくわからない。他人と比べて、特に引き目を感じることがあるわけでもないのに、なぜか自信がないのです。この理由を、あなたならどうお考えになるでしょう?
完璧を求めすぎた結果、最悪の印象に
もうひとつついでにエピソードを挙げておくと、こんなこともありました。
これも若いころの話ですが、私はある好きな女性と食事をする約束をしました。もちろん、当日はドキドキ。約束の時間に合わせて身支度を整えました。
「何を着て行こうか」と考え、あれこれ服を選びます。少しでも相手から好印象を持たれるようにバリエーションは考えたい。ようやく服も決まって、家を出ようとしました。しかし玄関の鏡で自分の姿を確認したとき、不安が湧いてきた。「(あまり似合っていないかも)」散々検討して選んだにも関わらず、結局気に入らなかったのです。
また服をあれこれ選び直して、着たり脱いだりを繰り返しました。そのため、なんと食事の約束時間に遅れてしまったのです。
最初のデートで大幅に遅刻したわけですから、相手にとって印象が良いはずはありません。「少しでもいい印象を」と思っていたのが、逆に最悪の印象を与えてしまったわけです。