相手に嫌われたくない。好かれたい。そんな思いから、友人や恋人、同僚など周りの人に意見を合わせていませんか?「これはおかしい」と思うようなことや納得できないことでも、必要以上に考えを合わせようとして、我慢してはいませんか?
実はこれ、相手を遠ざけてしまう行為なんです。きょうは、好かれたくて相手に合わせすぎると裏目に出てしまう理由についてお話します。
誰もが「自分の世界」を持っている

image by:Unsplash
相手を遠ざけてしまう理由についてお話するうえで重要になるのが「自分の世界」です。まずはこれについてお話ししていきますね。
僕が幼いころ、ちょうど「刑事ドラマ」が全盛時代。いろんなドラマが放送されていて、よく観ていました。小学生だったので、あまり話の内容はよくわかりませんでしたが、アクションシーンが子どもながらに面白かったのを覚えています。
当時はネットなどありませんから、テレビの影響力がかなり強かった。人気の刑事ドラマが放送された翌日は、学校の友達とその話題で持ちきりです。休み時間には、みんなで「刑事ドラマごっご」をよくしましたね。
たとえ遊びでも、それなりにリアリティーは必要です。そこで「おもちゃのピストル」を買ってきました。もうひとつ刑事ドラマに必要なアイテムといえば、「手錠」ですね。たいてい最後に、刑事が犯人に手錠をかけて終わります。かけ方がカッコよくて、「手錠もほしい」と思いました。
僕は、個人商店で、おもちゃの手錠を買いました。そのときに、おもちゃ屋の店主が、僕に向かってこんなことをいったのです。「ボク、手錠買うなんて、将来は警察官になるのかい」。僕は別にそんな気はありませんでした。ただ、自分1人の世界のなかで、刑事役を楽しんでいただけです。
「将来は…」という言葉に、妙に現実に引き戻された気がしました。子どもながらに、気持ちが冷めてしまったのです。それ以降、少しずつ「架空の刑事」に対する思いが少なくなっていきました。
たったひとこと、何気ない言葉をかけられて、気持ちがこんなに変わるなんてどういうことでしょうか?当時の心境を考えてみると、何となく理解できます。
自分1人の世界を、他人に覗き込まれた気がしたからですね。自分だけの世界であったものが、何やら大げさに言って、一般的なものになってしまったのです。気持ちが冷めたのは、それが原因でしょう。当時の僕は内向的な子どもでしたし、無理もありません。