「依存」。この言葉に、あなたはいまどんなイメージを持っていますか?大人になれていない?人に頼ってばかり?しんどい?重たい?迷惑になる?
きっと、あなたが自分のなかにある依存を嫌ってきたぶんだけ、あなたが誰かの依存する気持ちに苦しんできたぶんだけ、あなたは依存をネガティブに扱っています。
最近、カウンセリングで「自分の心のなかの甘えを許してあげましょう」とか、「もう1度依存を受け入れましょう」というお話をすることが続きました。そこできょうは、「依存を受け入れる」とは一体どんなことなのか。また何がしたいのかを少し整理してみたいと思います。
「成長すること」と「成熟さ」

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私たちは、大人に成長していく過程で「依存」から「自立」へと心の変化を経験します。大人になってからこの依存をどう扱っているかで、人生のあるステージをうまく進めなくなってしまうことがあります。たとえば、
- なかなか恋ができない
- 誰も好きになれない
- 夫婦問題
- 部下との関係
- 子育て
などの場面です。私たちは依存から始まって、自立という一方向だけに直線的に成長していくものだと多くの人が考えています。自立していれば自立しているほど大人である、という見方です。
でも心の成熟さに目を向けたとき、私たちは依存と自立という過程(経験)を螺旋を描くように何度も繰り返します。そしてその「円」の面積が大きくなっていくこと。それが「人としての成熟さ」なのです。
「依存」と「自立」の役割
もともと私たちは動物としても「依存」という状態でこの世に生まれてきます。誰かに保護されないと、愛されないと生きていけない状態です。
そして大好きなパパにもママにも、もっともっと愛されたい。もっと褒められたい。もっと役に立ちたい。もっといっしょにいたい。そんな気持ちでいっぱいな子ども時代を過ごします。
そしてやがて「自立」という時代に入っていきます。誰かに愛されることよりも、自分のやり方が大切になったり、自分の気持ちの方が優先になったり…誰かにやってもらうより自分でやりたい、そんな気持ちのほうが大きくなる時代です。
私たちはこのような依存や自立という心の状態を経験しながら、1人の人間として大人になっていきますよね。
また、1人の人間としての成長や成熟だけではなく、社会との関係、仕事との関係、もちろん人との関係も、この「依存」と「自立」を経験しながらその関係性を発展、また深めていきます。
学校に入学したとき、新しい部活に入ったとき、新しいことを始めるとき、新しい仕事に就いたときも、始めは誰かから何かを教わったり学んだりする「依存」時代から始まり、やがて自分のやりかたを確立し「自立」していきます。