成熟した心の状態って?
パートナーとの関係だけではありません。学校や部活で下級生や後輩ができ、自分が何かを教える立場になったとき、仕事で部下ができたとき、子育てもそうです。彼らが見せてくれる依存を受け入れることが必要になってきます。
また組織やチームで仕事をしているなら、1人ですべての仕事を抱えてやるよりも、誰かに何かを任せたり、お願いしたりすることも必要となってくるでしょう。そこでも依存という心理と向き合えないと、うまくできないことも出てきます。
心のなかに、依存も自立も両方あってもいい。甘えることも頼ることも、また自分のやり方で自分でやることも、その両方が心のなかにあってもいいと感じられることが、「成熟した心の状態」なのです。
「依存」や「甘え」を受け入れるとは
私たちの心が「もっと愛されたい」と感じていた依存の時代に、たくさん傷つく経験もしてきたと思います。愛されたいと素直に思うから、人の態度や言動にも傷ついてしまうことが多かったのです。
心が傷ついたぶん、「もう2度と愛されたいなんて思うものか!」「頼るものか!」という気持ちで自立に移行します。そして傷ついた分、もう1度自分の依存という気持ちを受け入れようとするときに抵抗を感じる。また傷ついてしまうのが怖いのです。
依存という時代に充分に甘えられなかったという環境で生きてきた人は、自分のなかの「甘えたい」という気持ちを本当に見えないような心の奥深くに仕舞い込んでしまっています。
まだ自分が拒絶をすることができないようなときに、もしくは断れない関係で、大切に思う人に依存を向けられたり、またその人の依存で苦しい悲しい思いを経験したならば、あなたのなかで依存や甘えることをすごく重たいものとして、また迷惑なものとして扱っているでしょう。そしてあなたは依存を受け入れられない。素直に甘えられない。そんな心境になってしまっているのです。
では、どうすればいいのか…。
いま、もう1度そのときの気持ちや痛み、感情を受け入れてあげてください。もしそう感じていたのがあなたという小さな子どもであったなら、イメージのなかで、いまその子をあなたの膝の上にやさしく座らせたあげてください。そしてその子の気持ちに目を向けてあげます。
その子は「何も感じないよ」と、きょとんとしているかもしれない。歯をくいしばって、泣かないように下を向いているかもしれません。ただその子を見つめてこういってあげるだけでいいです。
「しんどかったね」。苦しかった、悲しかった、強かった、よく頑張った。でも、もう頑張らなくても大丈夫だよ。甘えてもいいんだよ。もう泣いてもいいよ。寂しいっていってもいいんだよ。
そしてあなたの胸のなかで、その子が「愛されたい」「甘えたい」と思うことを、いま許してあげる。その子が平和な穏やかな顔で「愛されたい」って素直につぶやくことを、あなたがまず許してあげることから始めてください。
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