人の好意をナナメから見る親子
また、こんなこともありました。
彼の実家には大きな畑があり、主に自分の家で食べる米や野菜を育てていました。ハクサイ、ダイコン、トウモロコシ、アスパラガスetc…旬の野菜が採れると、「新鮮なうちに」とパッキングして、私の実家におすそわけしてくれていたのですが、実家の母がお礼にと送った地元の特産品にあらぬ疑いをかけられたのです。
その特産品は、ちょうど私が実家に帰省していたときに送ったもので、地元に古くからある土産物屋で購入したのですが…。
「お前の実家から送られてきた食べ物、賞味期限が切れてたよ」。彼から電話で告げられたこの言葉に「えー!ごめん。お母さんに言っておくね」と伝えたところ、「いや、いいよ。母さんに言うなって言われてるし。多分そっちが誰かからいただいたものを、賞味期限を確認せずに送っちゃったんだろうねってうちで話してたんだ(笑)」と蔑むように笑う彼。
いやいや、そんなことをする人、めったにいないでしょう…。というか、私の母がそんなことをする人だと思ったんだ、この親子…。
彼と、お義母さん(になるはずだった方)の思いもよらない捉え方に怒りを通り越して呆れました。その後、彼には「言うな」と言われたけれど、母に報告し、物産展から彼のご実家にお詫びの連絡と代わりの品物を送ってもらいました。私の母ももちろん良い気はしません。「これからはお礼の電話だけにしておくね」とため息まじりにいっていました。
私が彼と婚約を解消した理由
私が彼と婚約を解消した表向きの理由は、「この地で一生暮らしていく自信がない」ということでした。移住した地域の会社と東京の会社と、フリーランスとして両方の仕事をいただいていた私にとって、東京の仕事の方が楽しかったことは確かです。
しかし、気持ちが徐々に離れていった理由のひとつに、「彼の性格に対する不信感」があったことは否めません。日本最難関の大学を出ている彼は、ケンカのたびに「ない頭で考えたら?」「だからバカは嫌なんだよ」などと私を見下していました。
あのまま彼と結婚していたら、私は日常生活のなかで度々小馬鹿にされ、辱めを受けることになっていたでしょう。きっとそれは彼のお母さんからも同様に…。親子で人の習慣をネタに笑い合っている、そんな姿を想像するだけで「別れてよかった」と思うのです。