20代後半、ツヨシさん(仮名・営業)の場合
先日の祐一さんは、私が期待をしすぎただけでかなりいい人だったんだと思う。だけどなんとなく、いい人止まりで終わっちゃいそう。ロマンチックなムードとかシチュエーションに憧れちゃうから、できればそういうのが得意な人がいいな。
次に会った彼、ツヨシさんは、見た目がかなりフレッシュ!写真ではもう少し落ち着いた印象だったけど、実際に会ってみるとかなり若い雰囲気だった。本当に同い年かな?肌が私よりキレイかも…。ファッションセンスは少し残念だったけれど、完璧すぎても怖いよね。
彼が連れて来てくれたお店は、ビルの最上階にあるダイニングバー。オシャレな内装にキレイな景色。祐一さんがここに連れて来てくれてたら、私間違いなくイチコロだったのに!とにかくそれくらいお店のチョイスが完璧だった。
「こんなステキなお店があったなんて知りませんでした」
「僕も実は初めて来たんです…栄子さんが喜んでくれたらうれしいなと思って」
もしかして私のために一生懸命探してくれたのかな?デート慣れしてたらチャラそうで嫌だなって思ってたけど、そんなこともなさそう。
「栄子さんは、お付き合いされてるかたいないんですか?すごいおキレイだからいそうなのに」
「いないですよ!もうしばらくいませんね…ツヨシさんこそ、モテそうなのに」
「いやいやそんなことないです。僕、アプリで誰かと会うのも初めてで」
すっごい真面目な好青年?ちょっとウブな感じがなんだが母性をくすぐられる…。
すっかり打ち解けた私たちはそのまま二軒目に向かう。お酒が入って少し甘えん坊になった彼がなんだか可愛い。頼られる恋愛っていうのも悪くないかも。同い年のはずなのに、なんだか彼のことは守りたくなるんだよね。
「お客様、恐れ入りますが年齢確認できるものはお持ちですか?」
「え、僕ですか?」
二軒目のバーで彼が突然年齢確認を求められた。見た目も結構若いし、まあ疑われても仕方ないかも。彼も「またか」という顔だし…。
「えっ?」
ちらりと目に入った彼の免許証。生年月日を見てみると、私よりうんと若い。
「……20歳……?」
なんと彼は20歳。年齢を偽っていたのだ。
「すみません…」
「9歳も偽ってたの?」
「あの…僕、年上の女性のかたとお付き合いがしたくて。騙すつもりはなかったんです!栄子さんにはきょうのうちに言おうと思ってて」
「もしかして、いま大学生?」
「そうです……」
クラクラしてきた。年下男子が苦手なわけじゃないけれど、学生か…!しかも嘘をつかれていたなんて、ショックがでかすぎる。そのあとのことは特に覚えていないけれど、ショックすぎてそのまま帰ってきて、気づいたら自宅の玄関で放心状態だった。