30代前半、拓也さん(仮名・自営業)の場合
そっか、年齢確認しないと登録できないとはいえ、偽る人もなかにはいるわけね。ツヨシさんのアカウントは後日消されていたので、罪の意識を感じたのだろう。もう二度と年齢詐称なんてしませんように。でも初めから年下だってわかってたら、また違ったと思うんだけどな…。ちょっぴり残念。
そんな経験を活かして会うことになった3人目の拓也さんは、メッセージのやり取りからかなりのハイテンション。趣味も合うしノリもよく、かなり期待していた。
しかし、待ち合わせにやってきた拓也さんは写真とは全然違う人。「えっ、拓也さんですよね?」と思わず聞いてしまったほどだ。しかし話を続けているとやっぱり最初の印象のとおり、かなり話し上手な人だった。
まあ写真詐欺くらい仕方ないよね、私もアプリでちょっと加工してるし…。何より中身はいい人そう。連れて来てくれたお店もおいしくてオシャレなしゃぶしゃぶ屋さんで高評価!
「栄子ちゃん、この後って時間ある?夜でも空いてるオシャレなカフェあるんだよね」
二軒目にカフェのお誘いだなんて、ちょっとシャレてる。しゃぶしゃぶでお腹がいっぱいだったから、ゆっくりコーヒー飲んで落ち着きたいかも。お酒の飲みかたもスマートな人だし、下心が見えない感じがステキだな。もちろん誘いをOKする。マッチングアプリ3人目にして、ようやく安心して2軒目に行けそうだった。
彼がトイレに立つと、彼のスマホにしきりにメッセージが届いているのに気づく。
「さっきからすごいメッセージ来てるみたいだけど大丈夫かな…ん?」
ちらりと視界に入ったメッセージの内容。「明日のデート楽しみにしてます!」って、女の子?
「お待たせ!」
「あ、拓也さん」
「ん?どうかした?」
「あの、たまたま見えちゃったんですけど、ほかの女の子とも会う約束してるんですか?」
正直に打ち明けてみる。別にわざわざスマホを見たわけじゃないし、でも、ただ付き合うってなったらこういうのって気になるから…。
「うん、明日も会うよ」
「え」
「もしかして真剣な恋とか探してた感じ?俺プロフィールにも書いたけど、飲みに行ける女友達を探してアプリやってるんだよね」
そ、そんな。私は真剣な出会いを探してたのに…彼は飲み友達募集だったの?
「そ、そうだったんですね!わかりました…」
そのまま何もいわず、そっとお金だけ置いて席を立った。帰りの電車で拓也さんのプロフィールを見ると、確かに「飲みに行ける女友達探してます」と書いてあった。