付き合いたてのころはあんなにラブラブだったのに、いまでは手もつないでくれない彼。スキンシップの減った私たちに、愛はあるのだろうか。
付き合い初めの熱が冷めるのは早いらしい

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私が誠と出会ったのは、趣味のボルダリングがきっかけ。お互いに仕事終わりのジムで顔を合わせることが多く、年齢も近いため打ち解けるのはあっという間だった。
付き合いたてのころはのろけ話が止まらなくて、よく同僚に「彩佳、またのろけてる。本当ラブラブだよね」といわれていた。
交際してからはとにかく毎日が楽しくて、仕事の成績も右肩上がり。上司には最初「浮かれてミスするなよ~」といわれたのだが、最近では「恋の力で絶好調だな!」と笑われるほど。
半年ほどして同棲がスタートし、いまは同じ空間での生活を送っている。誠はボルダリングのほかにカメラも好きで、たくさんの絶景スポットを知っていた。
週末はそんな誠に付き合ってドライブをするのが定番。私も一人旅をするくらい旅行好きなので、ふたりで週末のプチ旅行を楽しんでいる。
誠の影響で将棋もはじめてみた。小学生のころから将棋教室に通っていたという誠は、初心者の私に教えるのが楽しいらしい。
逆に誠も、私が好きで続けている水泳や料理に興味を持ってくれている。誠は泳がないし料理もしないが、私の話にじっくり耳を傾けてくれる。私たちは、お互いの趣味を共有しあいながら穏やかに暮らしていたはずだった。
もう、3週間もスキンシップがない
ただ、1つだけ問題がある。最近、誠の帰りが遅い。
「ただいま」
「おかえり!きょうも遅かったね」
「ほんと、この時期は毎年忙しいんだけど、今年は特に…残業続きでまいっちゃうよ」
ぐったりとした顔で笑いかけてくる誠。例年この時期は繁忙期らしく、ひと月ほど残業が続くんだそう。そのままお風呂に直行し、軽く夕食を食べて寝る、これが最近の過ごし方だ。
日付が変わったころ、私たちはようやくベッドに入る。
「あしたは、きょうより早く帰りたいな」
「そうだね、せめてもう少し早く眠れたらいいよね」
「うん、睡眠時間が少ないと疲れもなかなか取れないや」
おやすみ、といって誠は眠りにつく。きょうも誠はすぐに寝てしまった。仕方ない、と自分にいい聞かせる。もう3週間もスキンシップがない。いつも寝るときは腕枕をしてもらっていたが、それもない。キスもない、ハグもない。
「疲れてるんだから、仕方ないよ」
そう自分にいい聞かせる。しかしそれは、平日に限ったことではなかった。
土曜日、誠が私のハグを避けた。少しほっぺを膨らませて「ハグしようよ」といってみると、なんだか少しため息をつかれたような気がした。
寝る前に隣にぴったりと張り付くと、急にトイレに立ち上がった。戻ってくると布団をすっぽりとかぶって、まるで私を寄せ付けないように眠る。なんだか私、明らかに避けられてない?これってもしかしてマンネリなのでは?