離婚の選択肢から「夫婦で乗り越える」へ
モラルハラスメントやDVの特徴ともいえますが、モラルハラスメントとDVをする人は、アメとムチを使いわける傾向があります。
SNSなどの嫁垢(旦那さんの愚痴を吐く嫁のアカウント)でもよく見かけますが、暴言や暴力を浴びせながらも、妻に対して誕生日にはプレゼントをくれたり、レストランへ食事に連れていき、「いつもお疲れさま」、ときには「愛してるよ」、「いつも頑張っているね」などと声をかけてくるのです。
そのときは、「あ、やっとモラルハラスメントやDVが止まる!」と期待しますが、そううまくはいきません。
アメの後には暴言や暴力がやってくるので、ハラスメントやDVを受けていても、次第に「私のことを愛してくれているから暴力をふるって正しい方向へ導こうとしててくれているんだ」「暴力は愛なんだ」と思い込むようになります。
そうなってしまったら、モラルハラスメントやDVの呪縛から逃れるタイミングを逃し、自分を苦しめる期間が長くなってしまうので、当てはまる人は注意してくださいね。
夫のアメとムチの使いわけで思考力や判断能力も低下し、体力的にも精神的にもボロボロになった私に、ある転機が訪れました。昔の知人とのSNSでの再会です。
当時私は将来的な離婚も見据えて、在宅のパートをしていました。ある日、パートながらもいろいろと仕事を任されていた私に、「金融関連の企画を考えてほしい」という依頼がきました。
そのとき、「この仕事の相談をしよう」と浮かんだ人物が、その後の私の人生を変えるキーパーソンになったのです。
企画のために連絡をとった昔の知人とは、企画の話もすすめながら、何気なくお互いの家庭の話もするようになっていきました。信頼をおいていた知人だったので、思いきって相談してみると…。
「旦那さんは何か抱え込んでいるんじゃないかな。何か悩みとか。この状況を打破したいなら、思い切って話し合ったほうがいいよ。人は言葉に出していわないとわからない。離婚する気持ちもあることを伝えて、両家の両親も巻き込んで話し合うのが一番いいと思う。モラハラやDVする人って孤独だから、自分のことをわかってほしいという気持ちが人一倍強いんじゃないかな。プライドも高いから、何か言えない悩みごとがあるのでは?」
親身なアドバイスを受けた結果、思いあたるフシがありました。夫は人一倍責任感が強くて完璧主義者。いつも「会社に行くのはお前たちのためだ!」と言っていたのです。
もしかして、出産後に家族を養うためのプレッシャーか何かを感じていたのかもしれない。それに、暴言、暴力を振るっている割には、新築の家を立てる計画でハウスメーカーと話が進んでいるし、貯蓄にもいそしんでいる。家計にお金も十分に入れているし、子どもには優しい…。
何とかして夫の暴言、暴力を辞めさせることができれば、幸せが訪れるかもしれない…。私はそう考えるようになりました。