切っても切れない家族の縁。身勝手で奔放な家族がいると、どこにも相談できず身内で抱え込んでしまうケースも多くあります。そんな困った家族が父親だったら…ずばり、ネタにしてしまうのがいいようです。
メルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』著者のミーミーさんは、ぶっ飛んだエピソードをたくさん残したファンキーな父親について「将来、何らかの形で書くんだ!」と決意してから、悩む気持ちが随分軽くなったそう。そして溜め込んだ数々のネタをnoteで公開すると話題に。
今回も、メルマガで披露されている“ぶっ飛びエピソード”をご紹介します。
「おまえは何も見ていない」

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大学生のころ、帰宅中に父の車とすれ違いました。
助手席に女性が乗っているのがチラッと見えましたが、当時わが家はお店を営んでいましたし、スタッフさんの可能性もある、知り合いの可能性もあるということで別段気にせず私はそのまま歩いていました。
5分くらい経ったところで、私の歩みと同じ速度におとした車がピタリと私の左横にやってきました。
父の車でした。
5分前まで助手席に女性が居たはずですが、私に横づけした車には父ひとりしかいませんでした。この数分の間に女性を慌てて車から降ろし、私を追いかけてきたんです。
自分の親とはいえ、歩いているところに同じ速度で横づけされると怖いものです。
私は父の車を無視して歩みを進めました。すると、車の窓をウイーンと開けて父が言いました。
「おい!おい、ちょっと、ミーミー!ちょっと車に乗れや。家まで送っていったる!」
気持ちが悪いので「いや、もうすぐ着くし、1人で帰れる」と断ったら、「お願いだから、ちょっと乗れや。話があんねん」と言います。
しかたがないので助手席に乗り込むと、父が真顔で「お前は何も見ていない」と、言いました。
何でしょう、その北斗の拳のケンシロウのようなセリフは。
「は?」
「お前はいま、何も見なかった!」
あまりに真顔でキリっと変なことを言うので私は反論しました。
「いや、見たけど」
「……何を?」
「女の人、乗ってたよね?」
「……え?」
「女の人が乗ってたのを見ましたけど」
「……お前は、そのパパの車にだな、女の人が乗ってたっちゅうのをやな、どないすんねん。誰かに言うんかいな。たとえば、ほら…お母さんに…言うんかいな」
どうやら父は母に告げ口されるのを恐れているようです。
「いや、言わないけど」
「どうして!?」
「だって、お母さんに言ったところで面倒なことになるだけだし。わざわざ言わないよ。…見たけどね」
「……おまえ、ええやつやな」
「いや、優しさじゃなくて、面倒なだけよ」
父は上機嫌で私を家まで送ってくれました。
私を車から降ろすと「じゃ!」と笑顔でどこかに行こうとするので、「どこに行くの?」と聞くと、「ちょっと遊びに!」と言って、颯爽と走り去っていきました。
母には言いませんでしたが、あれから20年以上経ち、いまこの記事で言いました。しっかり見ましたしね!
もし、なんらかの不都合な場面を見られたときに、「お前は何も見ていない」と暗示をかけようとしても無駄です。大抵は見られているものです。しかしそこでもうひと押しすると相手が折れてくれる可能性があります。
父と私の秘密の思い出でした。
「いま家族のことで悩んでいる」「過去のことが忘れられない」というかたは、ぜひメルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』にご登録ください。きっと「楽しく生きるヒント」が見つかるはずですよ!
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