「性のイメージ」を塗り替えよう
そこで、彼女に対して私は、「本来のまぐ合い(性行為)の本質」についてお話ししました。
女性の性器は、大和言葉で「ほと」といいます。これは「かまど」を意味する言葉で、つまり女性の膣は「温かなかまどのような場所」ということです。
それに対して、男性の性器は、大和言葉で「ほこ」といいます。これは古代の武器の「矛」(槍と剣の中間のようなもの)のことで、まさに剣のように硬く勃起した凛々しい姿を表現しています。
男女のまぐ合いというのは、女性の温かなかまどの中に、ひんやりとして硬い男性の剣を差し入れて、あたかも鉄が火の中で鍛えられるように、エネルギーを吹き込まれて、「また明日から元気で働くぞ!」といえるような活力を吹き込んであげる行為なのです。
──ここまでお伝えしたところで彼女の表情がみるみる明るく変わり、「私、いますぐ帰って夫に、してあげたくなりました!」と力強く口にしたのです。
その行為に対するイメージが変わるだけで、こんなにも人の気持ちや行動がガラリと変わるのだという事実を、目の当たりにさせていただきました。
その言葉通り、彼女はそれ以降、自ら積極的に「性を楽しむ女性」に生まれ変わっていったのですから驚きです。
夫婦の営みは「温かく、幸せなもの」
さて、以上のすべてのパターンに共通していえるのは、社会全般の「性に対するイメージが歪んでいること」が土台になっているということ。
これはちょうど、男性側が断わる代表的な理由「家族のように思えるとできない」の背景に、「性のイメージの歪み」があったことの裏返しになっているのです。
ということは、社会の性のイメージが「イヤらしく、恥ずかしいもの」から「温かく、幸せなもの」に塗り替われば、いまや過半数となったレスな夫婦の割合は、減り始めるのではないかと私は考えています。
それは、イメージが変わるだけで性に対する態度が逆転した、パターン4の女性の例が物語っています。
これまでレスのパターンのうち、問題が表面化しやすいケースとして、夫か妻のどちらかが求めているのに、相手が断わるという、アンバランスなケースについて、それぞれの実情と対策をご紹介してきました。
次回のメルマガでは、あまり問題が表面化しにくいケース、「どちらからともなく、しなくなっている」というパターンについても、深掘りしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!メルマガ「真実の性の語り部・夏目祭子の『世界一わかりやすい“幸せな性”の授業』」は初月無料です。
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2021年9月2日に『親子で学ぶ「幸せな性」と命のお話』(徳間書店)を発売しました。
「大人も知らない男女の体のこと」「男女が結ばれる性行為の意味」「幸せな性を体験するために必要なこと」などをご紹介しています。また、パパママからよくいただく次のような質問にもお答えしています。
- 小3の息子にお風呂で性教育したいけど?
- 中3の娘が初体験!どう声をかけてあげたらいいの?
- 4歳の娘が自慰をしていた!やめさせた方がいいの?
- 中1の息子がアダルト動画を観ていそうだけど?
小学校高学年の子でも理解できるよう、やさしい語り口で書いていますので、ぜひ親子で命のこと、性のことについて知り、学ぶためのテキストにしてくださいね。
- 参考:ジャパン・セックスサーベイ2020、日本性科学情報センター「子どもと家族の心と健康 調査報告書」
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