「結婚したのは、2番目に好きな人でした」美琴さん(34歳)
最後に紹介するのは、34歳の美琴さん。現在結婚し、子どももいて、幸せな暮らしを送っているようです。しかし過去の恋愛を語る美琴さんの口はどこか重く、悲しげでした。
「よく、結婚するのは2番目に好きな人って言いませんか?本当にそうなんだなって、思います」
美琴さんは家族の写真を見せてくれました。優しそうなご主人の顔を見つめ、「もちろん主人のこと、愛していますよ」と言います。
「大学生のときに、2年付き合った先輩がいました。いまでも先輩を超える人は…いません。本当に大好きな人でした。でも、先輩が社会人になり、すれ違いが増えて別れてしまったんです。そして出会ったのが、いまの主人です」
ご主人とは2年付き合い、また別れてしまったんだそう。その原因は、美琴さん自身の気持ちにありました。
「先輩のことが忘れられなくて、主人と付き合ってても物足りなさが大きかったんです。こんなこと言ったら罰が当たるかもしれませんね…。でも先輩は物知りで、行動力のある人で、毎日刺激をくれていました。先輩への想いが膨らんできたある日、街中で再会してしまったんです。それで、主人を振りました」
せめて浮気をしてしまう前に、優しいこの人を傷つけたくないと別れを決断した美琴さん。それからは先輩と復縁するために、あれこれ計画を立てたんだそう。
「あまりがっつきすぎると引かれるかなと思ってさりげなくデートに誘ったり、好意をちょっとずつアピールしてみたり。いま思えばバレバレだったよなと思うんです、だって先輩に『俺の事まだ好きでしょ?』って言われちゃったんですもん」
そうして願いが叶い、復縁できた美琴さん。しかしその幸せな日々は長く続きませんでした。
「私、先輩と復縁して気づいたんです。刺激的な日々をくれる、とても愛している人だけど、生活の仕方や考え方のすれ違いで別れたんだったって。好きっていう思いが溢れすぎて、一緒にいるしんどさを忘れていました。それくらい、愛していたんです」
そしてまた、美琴さんは先輩との別れを決断することになります。
「先輩もすれ違いを感じていたみたいで、でも『離したくない』と言ってくれて、すごく悩みました。でもお互いいい年だし、ここでずるずる一緒にいても、次は婚期を逃しちゃうよなって。先輩には、もっと幸せになれる人がいると思ったんです」
涙の別れを迎えた美琴さん。それから自然な流れでいまのご主人と再び付き合うことになり、結婚します。
「主人と復縁したときは結構やけくそだったっていうか…寂しさを埋めたいという思いが強かったです。早く先輩を忘れさせてほしいと思っていました。でも、主人のひたむきな愛に触れるうちに思ったんです。無理に忘れる必要はないんだって。過去の愛を大事にするのと同時に、主人との未来を作っていこう。私が幸せになることを、きっと先輩も望んでいるはずだからって…」
現在美琴さんは、先輩の連絡先も消し、何をしているのかも知らないんだそう。
「たまに思い出します。一番愛した人ですから、やっぱり子どもが生まれても忘れられないし…ひどいかもしれませんが、先輩と結婚していたらこうだったかなって妄想もしちゃいます。いつかまた出会えたら言いたいです。私、幸せですって」
ホロリと流れた涙を拭い、美琴さんは笑顔で私に話してくれました。
それぞれの復縁体験。みなさんも、忘れられない人はいますか?
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