私たちが、いまからなにをするのか
絡めあった指をいやらしく縦に動かし、Kの手の甲をやさしくなぞります。やや汗ばんだKの手が小刻みに揺れ、たじろいでいることに、可愛らしさを感じました。
普段は誰かが歌っている時間を長く感じてしまうものですが、このときだけは、あっという間に終わりに向かって曲が進んでゆきます。
まだこのままでいたい。その思いはKも同じだったようで、私の耳元でこう囁きました。
「…いく?」
私はその一言で、私たちがいまから何をするのかを察しました。飲み会は無事解散。外が薄暗かったことを覚えています。朝日が昇る前に、私とKは窓のない部屋へ身を隠しました。
忘れられない、あの夜
同僚たちと自然に距離をおいて別れると、カラオケから歩いてすぐのホテルへ向かいました。
ホテルに入るとKはシャワーも浴びずに、私をベッドへ誘導。普段しっかりとセットされているKの髪の毛はくしゃくしゃになっており、長い前髪から見えるつり目が堪らなく愛おしく感じました。
Kはじっと私を見つめ、何も言わずにキスをします。何度も何度も唇を重ね、呼吸が苦しいのに、やめられない。唇を重ねている間、Kは私の体に手を這わせ、服の上から確かめてきました。
暑い吐息からは、かすかなお酒の匂いと、ミントタブレットの爽やかな香り。どこまでも抜かりない男でした。それと共に、いつもKの横を通るたびに身を震わせていた、あの匂いに包まれたのです。
いつもゾクゾクと私を刺激していた匂いが、熱を感じるほど強く、近くにある。それだけで、私の興奮はよりかき立たせられます。
キスはどんどん激しくなり、互いに自分の服を脱ぎ捨てました。無駄な会話など一切せず、ただただお互いの体をむさぼるさまは、まるで動物のよう。
優しい先輩である普段のKはそこにおらず、Sっ気たっぷりで攻め続ける彼のギャップに、私はただただ興奮するばかり。無理やり頭を押さえられたり、絶妙な言葉責めでイジめられたり…どんな相手にでも基本Mにならない私が、すぐに落ちてしまいました。
そしてKは、当時ですら経験豊富だと自認していた私が知らないテクニックを、数えきれないほど披露してきました。それはまさに、鮮やか。相当な数の女性と遊んでいたという噂は、本当のようでした。そうして互いに何度も絶頂を迎えたところで、ようやくシャワーを浴び、ホテルを後にしました。
Kと一戦を交えてわかったことは、いま人気のさわやか韓流系でも、やはり夜はガッツリ男なんだということ。そして、私は人によってはMでもいけるということでした(大収穫!)。