小春の彼氏である達樹の子どもを妊娠し、略奪することに成功した優華。
「幸せな結婚をしたほうが勝者なのよ」
離れていく友人たちを見て、優華は鼻で笑っていた。振られたやつなど、もう敗者なのだから構う必要なんてないのだと。しかし優華の想像とは裏腹に、事態は幸せとは真逆の展開をたどっていく。
第一話:親友の彼氏とカラダを重ね…寝取って「略奪」した女が手にした幸せとは?
第二話:結婚の挨拶、そして出産
- 登場人物
- 優華:この物語の主人公
- 達樹:小春の彼氏
- 小春:優華の親友であり、達樹の元彼女
理想の結婚と現実

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「私ね、こんな指輪がほしいの」
私はスマホで調べた結婚指輪を達樹に見せる。小さなダイヤモンドがたっぷりあしらわれた、シンプルだけどゴージャスなデザインのものだ。値段は少々張るが、愛の証なんだからこれくらい大したことないだろう。
「あー、指輪ならもうあるよ」
達樹は立ち上がり、棚の引き出しを開ける。なかから指輪の入った箱を取り出して、私に見せてきた。
「えっ、うそ、どういうこと?」
「んーサプライズしようと思ってて」
「わぁ、うれしい!達樹ありがとう」
思わず達樹に抱き着く。達樹はそんな私の頭をなでながら、薬指に指輪をはめてくれた。
「よかった、サイズもピッタリだね」
デザインは望み通りとはいかなかったが、キラキラ輝くダイヤモンドが3つ。そして対になった指輪を、達樹も薬指にはめた。
「うれしい、写真撮ってもいい?」
「うん、いいけど」
達樹の手と一緒に自分の指輪の写真を撮り、SNSに上げた。通知がどんどんやってくる。何も知らない人からの「おめでとう」のコメントに思わずにやけた。そうだよ、私、ついに結婚するのよ。
「そうだ!あのね、結婚式も挙げたいの」
「えっ、式?」
リストアップしていた式場の候補を達樹に教える。しかし達樹の反応は、想像していたものと違った。
「あのさ、いまは妊娠中なわけじゃん。身体が大事だから、写真だけでいいんじゃない?」
「嫌だよ、私、式も挙げたい。お腹が大きくなってから挙式した人だっているんだよ?だから私も安定期過ぎれば」
「いやでもさ、急すぎるでしょ。前から決まっていたわけでもないし。いまからバタバタ動くのって大変だと思うよ。それに俺、そんなに呼べる人いないから…写真だけでいいしょ」
融通の効かない達樹に腹が立った。一生に一度の結婚式。絶対に、盛大に式を挙げたかったのだ。これまで思い描いていた私のウェディングプランはどうなるの?
「とにかく、俺は式を挙げるのに反対かな」
「どうして?ひどいよ!一生に一度なのに、私の気持ちなんてちっとも考えてないじゃない!こういうのは女の子の意見を尊重するべきじゃないの?」