どんな人間関係でも、人の尊厳を傷つける、自尊心を踏みにじるような行為は控えるのが正解です。
いわゆる「モラルハラスメント」で女性をおとしめる男性は、自分のしていることに違和感がなく、反発されると怒りでもって押さえつけようとするのが問題。関係は対等であるのが当然であり、モラハラは立派な「加害」です。
きょうは、モラハラ男の取る言動にはどんなものがあるのか、エピソードを交えてご紹介します。
恋人を“サンドバッグ”にする男性

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「付き合って2年になる彼氏がいますが、モラハラがひどく別れることを考えています。
最初は、私のことを『かわいい』『大事にしたい』と言ってくれて、実際に服をプレゼントしてくれたり残業のときは会社に迎えに来てくれたり、優しい人だと思っていました。
私も彼にお弁当を作って朝の出勤前に届けたり、デートのときは手料理を振る舞ったり、ふたりで『ありがとう』と言い合えるのが幸せでした。
彼が変わったのは1年ほど前で、仲のよかった同僚が先に昇進したことを『俺もがんばっているのに、上は見てくれない』と愚痴をこぼし、以前ほど仕事に熱心でなくなってから。
会社について話題にすると不機嫌になり、残業が続いたときに体調を心配すると『君には俺の苦労なんてわからない』『女はいいよな、重要な仕事はないから』と嫌味を返され、そのときはまだ“この人もつらいのだから、支えなければ”と我慢していましたね…。
お弁当を届けに行くと、『ありがたいけど、○○の持ってくる愛妻弁当には負けるな』と言われてすごくショックだったことを覚えています。
『悲しくなるからやめてほしい』と何度か伝えましたが、そのたびに『俺の気持ちも考えろ』とか『じゃあどうしてほしいのか言えよ』と強い口調が飛んでくるので怖くなり、何も言えなくなりました。
それからも、会社で嫌なことがあると私に八つ当たりするというか、ご飯に文句をつけたりデート中のお金を『きょうは出さないからな』と私に全部負担させたり、一緒にいることがどんどんつらくなってきて。
『どうしてこんな思いをしてまで付き合っているのだろう』と考えるのですが、別れたいと言えばどんな言葉でなじられるかわからず、結局いつも私が黙って従うだけでした。
いつの間にか彼の機嫌をとるのが当たり前になっていたのですが、『もうダメだ』と思ったのは夜の営みを強制されたときです。
その日の私は、仕事が忙しかったのと彼の部屋の掃除などで疲れきっていて、早く寝たいと思い『きょうはもう帰るね』と言うと『まだすることが残っているだろう』とベッドに連れていかれそうになり、思わず抵抗しました。
それに腹を立てた彼に突き飛ばされて転んでしまい、そんな私に向かって飛んできたのは『使えねえな』という言葉と舌打ち。
頭は真っ白で、体が震えているのがわかり、ひたすら自分が惨めに思えましたね…。その夜以来、彼のLINEも電話もブロックしています」(35歳/総務)
会社で自分の仕事ぶりが認められないのはたしかにつらいですが、そのストレスを恋人で解消するのは間違いです。彼女は「愛情があって付き合っている人」であり、自分の感情次第で殴りつけていいサンドバッグではありません。
きつい言葉を吐いても黙って受け入れる姿を見て、「傷つけてもいい」と無意識に思い込んでしまうのがモラルハラスメントをする人間の特徴でもあります。
彼女が「やめてほしい」とお願いしているにも関わらずネガティブな攻撃を続けるのは、自分の感情をコントロールできない未熟さのせい。
つらいときほど身近な人を大切にするべきで、愛情を向けてくれる姿を無視して簡単におとしめられるのは、「自分の思い通りに存在してほしい」という依存であり弱さです。
自尊心をないがしろにされる関係に女性がいつまでも耐えられるはずはなく、終わってみれば「モラハラで彼女を傷つけた男」という評価だけが残ります。それが現実です。