クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
「付き合った当初は満足できていたのに…」と、夜の生活に悩みを抱えるカップルも少なくはないでしょう。したい頻度が相手のほうが多いとか、逆に相手がしたくなくて困っている人など、性的欲求に差ができることで生じる問題は珍しくありません。
私は以前、「あまりしたくないという自分の願望は押し付けたくないけど、したくない…。でも自分以外とは関係を持ってほしくない」という複雑な感情を抱える友人の話を聞きました。
レス、ED、痛み、価値観の違い…さまざまな要因があるなかで、性的欲求の差とどう向き合っていけばいいのでしょうか。
「HSDD(性的欲求低下障害)」とは?

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コトバンクによると、HSDDとは「Hypoactive Sexual Desire Disorder」の頭文字をとった単語で、日本語では性的欲求低下障害と言います。
HSDDとは夜の生活への興味や性的欲求が(ほとんど)ない状態のことを言い、多くの人が抱える性にまつわる問題のひとつとしてあげられます。
付き合った当初はしていたが、いまでは恋人からの誘いを避けるようになったり…カラダを重ねるだけでなく自分でもしたくないなどの特徴があるそうです。
非営利団体「The Society for Women’s Health Research」の調査によると、女性は10人に1人の割合でHSDDに当てはまるとも言われています。
性的欲求が減少していることが恥ずかしいと思う人もいると思いますが、実際にはそれだけ多くの人が抱えている問題であり、より表で語られるべき話題でもあります。
HSDDの原因ってなんだろう

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MSD製薬の公式HPを参考に、HSDDの原因についてお話しします。
心理的要因
うつ病、不安症といった精神面から性的欲求が衰退することがあります。特定の薬による副作用により、気分が下がってしまうことも珍しくありません。精神面が安定していないときに、したいという気持ちにならない人が多いのです。
それにより、「自分を求めるパートナーの気持ちに答えてあげられない」と自己嫌悪に陥るケースもあるのですが、まずは自分自身を労ることが大切。うつ病を抱える人のなかには、うつ状態でも性的欲求がある人もいるので、一概にもすべての人に当てはまるわけではありません。
人間関係の悪化
仕事や友人関係でうまくいかないと、心にストレスを抱えてしまうこともありますよね。このように何かストレスを抱えていると、する気分になれないという人も少なくないようです。
パーソナルな問題が要因である場合、セラピーなどの心理療法で治療できる可能性もあります。まずは、いまの状況を吐き出すことで気が楽になるかもしれません。
出産
出産後に性的欲求が衰退することはよく聞く話だと思います。その理由は、出産した後のホルモン量が大きく変化するからだそうです。
女性ホルモンのエストロゲンは、出産した後に減少する傾向にあります。マタニティブルーという言葉をよく聞くように、急激なホルモンの減少により性的欲求が落ちる女性が多くいるのです。
「自分には興味がなくなったのかもしれない」と不安になる人もいますが、直結に関わる問題ではないことを知っておきましょう。
性交痛
性交痛とは、名前の通り行為の際に生じる痛みのことです。膣の入り口が荒れていたり、十分に濡れていないまま挿入してしまったり、ストレスによる免疫力の低下など、人によって痛みの原因は異なります。
また、気分が乗らないときに無理にしようとしたり、触られることに抵抗があるなど、精神的な側面からも痛みが生じることがあるので、パートナーとのコミュニケーションが大事になるでしょう。