第1話:男や友人を「顔や金」で選ぶ女。ハイクラス婚活で奪われ、手に入れたモノは…
第2話:女ばかり結婚式に招待する夫。妻が「恥ずかしくてたまらない」と思った最悪の瞬間
真実
結局旅行中、賢一はほとんど仕事でリサに構ってくれることはなかった。「面倒なこと言ってごめん」と謝るリサに対し、わかればいいんだとただ一言だけ伝えた後、広い部屋にリサ1人を残してまたいなくなった。
唯一最終日のディナーだけは一緒にできたが、こんなの新婚旅行じゃないと文句を言うこともできなかった。
「楽しかったね、お土産買えた?」
帰りの飛行機でニコニコと笑いながらリサに聞いてくる賢一に、リサは力なく笑う。
「ごめんね、仕事ばっかで」
「ううん、仕方ないよ」
ほんとうは仕方ないと思えなかった。ちっとも楽しくなんてなかった。
でもきっとハイクラスな男性との結婚なら、こんな事態は日常茶飯事なんだろう。仕方ない、これも慣れなくちゃいけないんだ。
リサは自分に言い聞かせながら、旅行中に撮った写真を眺めた。どれも自分の自撮りばかりで、賢一とのツーショットは1枚もなかった。
帰宅後、賢一はまたすぐ仕事に向かう。リサは空っぽの新居で1人、トランクの中の荷物を出しながら千晶に連絡した。
「千晶、もしかして3日前くらいにバリ島にいた?」
『いないよ~どうして?』
「ストーリーで見たんだけど…」
『そんなストーリー上げてないよ!気のせいじゃない?ずっと仕事だったよ』
「そっか、勘違いしてごめんね!きょうもこれから仕事?休みだったら夜ご飯一緒に食べない?」
『きょうもこれから出勤なの、ごめんね!』
やっぱり勘違いだったようだと、リサは無理やり納得した。
しかしあのとき一瞬だけ見ることができストーリーも、賢一の動揺した様子も、リサの心の中に引っかかったままだった。ほんとうに全部、勘違いなんだろうか。考えれば考えるほど不安が膨らみ、片付ける手が進まない。
モヤモヤする思いを抱えながらSNSを見ていると、友人たちのストーリーが更新される。それは賢一の友人たちと飲んでいる様子だった。結婚式の二次会で意気投合し、すっかりなかよくなったのだという。
「この子たちも結局、男に媚びてるだけじゃん。お金持ちで顔もかわいいから付き合ってやろうと思ったのに残念…」
いつものようにブロックしようとした矢先、見慣れた2人が写真に写りこんでいることに気がついた。
「これって」
画像をアップにして顔をよく見る。賢一と千晶が寄り添って、カメラに向かってピースしていた。
「なんで2人が一緒に居るの…?」