第1話:男や友人を「顔や金」で選ぶ女。ハイクラス婚活で奪われ、手に入れたモノは…
第2話:女ばかり結婚式に招待する夫。妻が「恥ずかしくてたまらない」と思った最悪の瞬間
似た者同士の結婚生活
その夜、何も知らずに帰ってきた賢一にリサはスマホを投げつけた。
「嘘つき!最低だよ、仕事だって言って千晶と不倫してたじゃん!ひどいよ、ひどすぎるよ!」
「え、リサ、どうしたの…」
「新婚旅行だって仕事だって言ってたけど、千晶に会ってたんでしょ?あのときバレたかもって思って動揺したんだよね?ひどいよ!」
涙が止まらなかった。怒りがあふれ出てくる。リサはとめどなく湧き上がる怒りをありのまま、賢一にぶつけ続けた。
「結婚式の日だって、上司と飲んでたっていうけど嘘じゃん!本当は千晶をお持ち帰りしてたんじゃん、私全部聞いたから!いまだって仕事じゃないじゃん、千晶といたんでしょ?!」
壁にぶつかった拍子にひびが入ったのだろう。亀裂のあるスマホの画面をタップして、リサはさっき千晶から送られてきた写真や動画を賢一に見せた。
いますぐここで謝って、土下座してほしいと思った。誠心誠意の謝罪をして、必死に許しを乞い、抱きしめてほしい。
「あーあ、じゃあ別れる?」
だが賢一からの返事は、リサが全く予想していないものだった。
「慰謝料とかいる?いくらがいい?お金ならあるから全然払うよ」
「は?ちょっと、そういう問題じゃないでしょ…」
「じゃあどういう問題なの?お金払ってほしいんじゃないの?」
「違う、謝ってほしいの!」
「謝ったら許してくれるの、じゃあごめんごめん」
「そういうことじゃ…」
「ええ、じゃあどういうことなの?めんどくさいなぁ…」
けだるそうにネクタイを緩めて、賢一はソファーに座った。財布から乱暴に札束を抜き、リサの目の前に放り投げる。
「とりあえずここに100万はあったわ。後はあした用意するから」
「ねぇ、お金で解決する問題じゃないよ!これ不倫だよ?離婚問題だよ?」
「じゃあお金もあげるし離婚もするし…ちょっと待って、リサって俺と同じタイプじゃないの?」
「タイプ…?」
「可愛い子がいたらそっちに気が行くのは当然だろ?リサだって自分の好みに合わせて人間関係をよくリセットしてるよね。それが男女ではNGだっていうの?人間関係は常にアップデートしておかないと」
頭が、真っ白になった。
「とりあえず離婚届も用意しとくからさ。楽しかったよ、つかの間の新婚生活!やっぱり俺、結婚って向いてないのかな。不倫とか言って責められるならめんどくさいね。じゃ、そういうことだから」
何の反省も、反省のふりさえしないまま、賢一は部屋を出ていった。
スペックだけで友人や恋人を選び続けたリサの新婚生活は、わずか2週間もたたずに破綻したのだ。
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- ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。