彼女の条件
久しぶりに会った海斗との楽しいデートが最低なデートになったのは、あれから3日後だった。
忙しくてスマホ見てなかったんだという海斗に「久しぶりに泊まりに来てよ」と言ってから、わずか3日後。
「海斗さぁ、浮気してるでしょ」
「は?なんで」
「だって全然連絡くれないじゃん。未読スルーばっかり。デートも前日にドタキャンするし…」
一緒に作ったグラタンにフォークを刺しながら、うんざりため息をついてみる。正直言って、本気で言っているわけではなかった。そう思われていることに焦ってほしいと思ったのだ。そして、もし浮気していたのなら「ヤバい」と気づくきっかけになると思ったのだ。
「浮気してないならもっと私との時間作ってよ。私彼女でしょ?お泊まり以外にも旅行とかしたいし…」
マカロニを冷ましながらちらりと海斗の顔を見ると、うんざりした顔で大きなため息をついていた。
「俺さ、恋愛に縛られたくないんだよね」
「…は?」
「気が向かなければデートしないし、彼女との時間を無理して作ろうと思えない」
「どういうこと?」
「俺が会いたいって思うときだけ会えればそれで十分なの」
「それじゃあ前と変わらないじゃん」
「そう思うの?じゃあお前はカラダだけの関係で十分だったんだよ」
「そんな…」
まさかの海斗の発言に驚きが隠せないまま、思わず言葉が出なくなる。
「都合のいいときに会えるし、俺がいつ呼んでも文句言わないし、だから美波が好きだったんだけどなー。お前も元カノみたいに『もっと会いたい』とかいうタイプかよ。がっかり」
「そんな言い方なくない…?じゃあ付き合わなければよかったじゃない!」
「お前が『付き合う?』って聞いてきたんだろ。身体の相性だけ合えばよかったんじゃないの?」
海斗の発言が理解できず、ただ肩を震わせることしかできなかった。
NEXT:2022年5月20日(金)更新予定
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- ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。