「会わずに話せる」ことの大きさ
「夫は酒に酔うと私の髪を引っ張ったり蹴ったりしていました。あるとき娘にまで手を挙げそうになるのを見て『もう限界』と思い、娘を連れて実家に逃げました。
夫は次の日には実家に来ましたが、玄関で声を聞いただけで泣き出す娘を見て、私の父が『絶対に会わせない』と言い、追い返したもののしばらくは外を歩くのも怖かったです。すぐにインターネットで調べて離婚調停を知り、さっそく申し立てました。
別々に話すので夫と顔を合わせることはない、と聞いていても同じ建物にいると思うだけで恐怖があり、『本当に会わないで終われますか?』と確認したら待機するフロアそのものをわけてくれて、ホッとしましたね…。
夫は『妻は大げさだ』『こっちこそいきなり出ていかれて被害者だ』と調停室で言っていたそうですが、私が『酔ったときに暴力を振るうことをやめてほしい』と何度もお願いしていたLINEが証拠になり、『あなたが思う以上に奥さんは苦しんでいたのですよ、と言いました』と調停委員のふたりは話してくれました。
離婚の意思が強いこと、声を聞いただけで泣き出す娘の状態などしっかりと話し、夫も観念したのか3回目の期日で離婚が成立。慰謝料はないかわりに、財産分与もしないことが決まりました。
給料を酒代につぎ込む夫は貯金はなく、私はそんな夫への不安から自分名義の口座にずっとお金を残してきたので、それが奪われなかったのは本当にうれしかったです。
冷静に話ができたのは、待合室のフロアが違っていたことや毎回の調停で『あなたに先に帰ってもらいますから、待ち伏せされることはないですよ』と調停委員のふたりが配慮してくれたことが大きいと思います。
ありがたかったし、不安なことはきちんと伝えるのがいいのだなとしみじみ思いますね」(女性/34歳/サービス業)
離婚を望む相手と裁判所で顔を合わせるのは、精神的に大きなストレスがかかります。
また、同じフロアに相手がいると思うと落ち着かず、特にモラルハラスメントや暴力を受けていた場合は萎縮してきちんと主張ができないことも。そんな状況を伝えておけば、裁判所のほうでできる限りの対策をしてくれるケースは多く耳にします。
調停は離婚の決定を左右する重要な場。集中することが何よりも肝心であり、心配はなるべく排除しておくことを考えましょう。