「敬意」を好意と勘違いして…
「子どもが産まれてから、妻とは家事や育児の分担で揉めることが増えてストレスが溜まっていました。
共働きで俺は残業を断って家に帰っているのに、妻は俺に相談もなく休日出勤を入れて『あの子のことはお願いね』と言うだけ、感謝の言葉もないし俺ばかり負担が大きくて…。
残業しないことについて上司に質問されたとき、『妻が家庭に協力的ではないため、自分が家事や育児をしないといけないので』と正直に答えたら、同情されて若い女の子のいるバーに連れていってくれました。
そこで知り合ったのが15歳年下のA子で、上司が『こいつは女房の尻に敷かれて苦労しているんだ』と話すのを、『仕事も家のこともがんばる男性って、素敵だと思います』とはっきり口にする姿が印象的でした。
上司が俺の仕事ぶりを褒めるのは恥ずかしかったけど、それを真剣な顔で聞きながら、『仕事ができる人だから家庭も大事にするのですね。でも、息抜きもしないとダメですよ』と笑顔で話しかけてくれるのがすごくうれしかったですね…。
妻にはない優しさや女性らしさに触れて、それまで家庭一筋で妻以外の女性とはろくに話すこともなかったなと気がつきました。
テンションが上がってしまいその場でLINEのIDを交換、家に帰ってからもA子とは普通に会話ができて、ただの世間話でも盛り上がるのが楽しかったです。
飲み屋で働く女性って、仲よくなるのはお店に来てほしいからだし、色恋営業というか好きな素振りを見せて気を引くものじゃないですか。
A子にはそういうのがなくて、店に来てとか同伴してとかいう誘いはゼロ、『風邪ひいていませんか?』とか『お仕事が順調でありますように』とか、常に俺のことを気遣ってくれるのが本当にありがたかったですね。
俺はすっかりA子を好きになっていて、『俺を売上に使わないし、向こうも純粋に好きでいてくれるはず』と信じていました。
妻とのギスギスした空気もA子のことを考えたら気にならず、むしろ妻に隠れて別の女性との関係を楽しんでいる自分に優越感を覚えていました。
お店には、誘われなくても時間を作って行くようにして、A子の驚く顔を見るのも幸せで…。あるとき、覚悟を決めてA子を食事に誘い、せっかくだからと同伴を約束して寿司屋に連れていきました。
『君のことが本当に好きなんだ』と言ったら、しばらく無言だったA子は、『ありがとうございます。でも、あなたに恋愛感情みたいなものはなくて…』と申し訳なさそうな小さな声で返されて、私も好きと返してくれるだろうと思っていた俺は本当にショックでした。
それから、俺を一人の人間として尊敬していたこと、本当に応援していたことなどをぽつぽつとA子は話してくれました。
俺を大事にしてくれる気持ちは敬意だったのだ、と気がついて、恋愛感情だと一方的に勘違いした自分が恥ずかしくなり…。目が覚めたようで、俺を慕ってくれる気持ちを無駄にしてはいけないと思いました。
A子とはいまも友達としていい関係で、不倫なんておかしな関係に引きずり込まなくてよかったとほっとしています」(男性/34歳/営業)
相手がいわゆる「夜の世界」に身を置く女性なら、自分と仲よくしてくれるのはお金を払わせたい下心があるから、と男性は考えますよね。
その気配がいっさい見えないことで「本当に好かれているのだ」と思い込む気持ちはわかりますが、たとえそうだとしても、既婚男性である自分が都合よく関係をコントロールするのはNGです。
このケースのように、色恋営業をしないのは一人の人間として敬意を持っていたからとわかれば、おかしな欲を向けていた自分が恥ずかしくなります。
どんなつながりであれ、婚外恋愛を望む前に相手の気持ちを尊重する姿勢を忘れたくないですね。
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