孫である恵介をとことん可愛がり、面倒を見てくれる義母。
夫よりも頼りになる存在にすっかり甘えてしまっていた主人公の香織だったが、義母のおかしな行動にだんだんと嫌悪感を抱き始める。
ついに息子は、何でも好きなものを与える義母を「ママ」、香織のことを「ばば」と呼ぶようになってしまう。
ショックを受けた香織は夫に相談する。しかし夫の反応は意外なものだった…。
第1話:あ、もうムリだ。孫に授乳しようとする義母を見て嫁は…【同居嫁姑バトル】
第2話:幼い息子が母親に放った「絶望の一言」…その原因になった義母のありえない行動とは
第3話

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- 登場人物
- 香織:この物語の主人公
- 優一:香織の夫
- 義母:香織たちと同居している優一の母
- 恵介:香織と優一の息子
- ※登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
無関心な夫

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このまま義母に頼る暮らしをしていれば、そのうち息子は義母を本当の母親だと思うかもしれない。
私はただ産んだだけの女で、たまにしかいない「ばば」だと思われてしまう。
頼らなければよかった。頼らずに育てればよかった。
そうしたら恵介は、歯科検診も引っ掛からなかっただろうし、お菓子をくれとかんしゃくを起こすなんてことなかっただろうし、母親のことを「ばば」なんて呼ばなかっただろう。
「ねぇ、お義母さんのことで相談なんだけど」
母親として自分は失格なのでは。そんな思いを抱え爆発しそうになっていた私は、夫に思いを全てぶつけた。
もっと息子との時間を増やしたい。お義母さんに頼る時間を減らしたい。そのためには、あなたにも協力してほしい。
しかし、夫から返ってきた言葉は想定外の内容だった。
「そんなこと?いちいち俺に相談しないでよ」
「…え?」
「香織が仕事から早く帰ってくれば解決するだけでしょ?時短にでもなれば?」
「ちょっと待ってよ、そんなの急にできるわけないじゃん」
「じゃあ無理だね、諦めよう」
「ねぇ待って、お互いに週に1回ずつは定時で帰ってくるようにしようねとかいろいろ方法はあるじゃん」
「俺は無理だよ、忙しいもん」
「私だって忙しいよ、でも仕事より子どもとの関係のほうが大事だよね?」
「んーでも、俺が働かないとみんな食っていけないじゃん」
「…私だってそうじゃない?」
「じゃあ現状維持だな」
まったく話が通じなかった。夫の言葉が理解できず私は呆然とした。
「っていうか、2人目作っても母さんに見てもらえるから楽ちんだな!ポンポン産もうか!」
最低な夫の言葉に、私は返す言葉も見つからなかった。
それからしばらくたったある夏の日。私は2歳を目前にした恵介を連れて、夫と3人で実家に帰った。
「恵介~、久しぶりだね。おばあちゃんだよ~」
「ばぁちゃん」
少し見ない間に喋れるようになり、歩けるようになり、走れるようになり、すっかり子どもらしくなった孫。
私は母親が恵介を愛おしそうに見つめるのを見て、心がほくほくと温まっていくのを感じていた。
「最近はどう?お義母さんにちゃんと感謝してる?」
「あー…うん」
「どうしたの。何かあった?」
恵介と共にテレビを見つめる母親を見て、私は胸がギュッと苦しくなるのを感じた。
「実はさ、お義母さんが恵介にずっとチョコレートをこっそりあげてたんだよね」
満を持して、私は母親に義母の行為を伝える。孫が可愛いんでしょ、と言割れるもんだと思いつつ。
「あら、それは困るわね」
「うん…あとね、恵介に自分のことママって呼ばせてるの。私のことは『ばば』って呼ぶ」
「ええ?」
母は恵介に、「この人だぁれ?」と私を指さしながら聞いた。
「ばば!」
「ママじゃないの?ママだよね?」
「ばば!ママ、るすばん」