最低すぎる「嫁いびり」
これまで親戚との仲は非常によかった。
私の結婚も、さなの妊娠と出産も、何もかも歓迎してくれた。近すぎず遠過ぎない距離感で、ほどよい関係を築けていた。
「2人目はまだなの?」なんて言葉もかけられたことがない。会うたびに優しくさなとも話してくれて、一切の不満がなかった。
だから混乱してしまった。
法事を終え、みんなの食事にお寿司を取ったという義母が、テーブルにどんどん皿とお箸を並べていく。
さなはギュッと私にしがみついたままだ。慎吾が「どうしたの?」と聞いてくるが、何も言えない。義姉と義弟の子どもたちも親に何か言われているのか、さなに一切話しかけてこようとしなかった。
「ここが慎吾で、ここが彩香、光一はここね」
義母は慎吾や義姉家族、義弟家族の座る場所を決めていく。慎吾のすぐ隣に義母が座り、親戚のおじさんが座った。
ぐるりとあたりを見渡すが、私とさなの座る場所がない。
「ねぇ、真紀とさなが座る場所ないよ」
慎吾が立ち上がって周囲を見渡す。そもそも座布団すら出ていない。皿もお箸もない。
義姉の子どもの男の子二人がさすがにかわいそうに思ったのか、自らの間をあけて「さなちゃんここおいで」と言っている。さなは首を横に振り、ポロポロと涙を流し始めた。
「あんなやつらに食べ物を与えるなんて、いじめを認めると言ってるのと同じだろ。みんなもそう思うってさ」
義母は半笑いで私とさなを見つめる。
「いじめって、母さん何言ってるの?真紀がいつ母さんをいじめた?」
「いーっつもいじめられてる!なんで慎吾はわかってくれないかな」
さなが声を押し殺して泣いている。涙がしっとりと、私の服にしみていく。私はもう我慢できなかった。
「弱い者いじめをしてるのはそっちじゃありませんか」
心臓がドクドクと音を立てだした。怒りと緊張と恐れと、いろいろな感情が煮えている。