「謝罪」に来たはずの義母。しかし…
そんな思いのなか、義母が「直接謝らせてほしい」と連絡してきた。私は、断る理由もなく、何も考えずに義母を家に上げてしまった。
土曜日。慎吾は髪を切りに行っていて、家には私とさなしかいなかった。
「ごめんねぇ真紀さん、この間は…私も悪気はなかったのよ」
「こちらこそ、誤解させるようなことをしてしまって、すみません」
義母は膝が悪いのに、隣県から電車に乗ってやってきた。駅前で買ったというせんべいを持って。
「どうぞ楽にしてください。さな、このお茶ばあばにもっていってあげて」
「はぁい!」
さなはキッチンに立つ私からお茶を受け取り、義母の座るソファーまで歩いていく。
「ばぁば、どうぞ」
目の前のローテーブルにお茶を置いて、ぺこりとお辞儀をした。
「あら、お行儀いいのねぇさなちゃん。ママに教えてもらったの?」
「うん!」
「偉いねぇ」
ニコニコと笑う義母はいつもの義母だった。ここ最近の変な義母とは違う。
「はぁ…なんだかやっと落ち着けるわぁ」
「最近お忙しかったんですか?」
私は自分とさなの分のお茶を持って、ローテーブルに置く。
「いやぁ、この前の一件からね、慎吾にも彩香にもずーっと責められてて…毎日胃が痛いのよ」
「そうなんですか…」
「ご近所さんまで知ってるのよ。みーんな私を悪者にするの、ひどいわよねぇ」
義母はニコニコ笑いながら私を見てくる。
「だってもとはと言えば、真紀さんがおかしなこと言うからでしょう。私は悪くないじゃない?だからね、みんなの前で一度真紀さんが謝るべきだと思うの」
「え?」
「そうね、まずは私に謝ってほしいわ。私の暮らしをこんなにストレスでいっぱいにしたんだから」
「…私が、お義母さんに謝るんですか?」
顔は笑顔だったが、言ってることはめちゃくちゃだった。
謝罪に来たんじゃなかったのか、どうして私が責められているんだ。