義母の「めちゃくちゃ」な意見
「そうよ!だって私が謝る理由はどこにもないじゃない。みんな私を嘘つき呼ばわりして…ひどいでしょう?あなたが言わなきゃ私はこんな目に合わなかったのに」
「お義母さんが嘘をついていたんですよね?私はその嘘を黙って見過ごすことはできません」
「ひどい嫁…嫁は姑の意見を聞くものよ。知らないの?」
そんなひと昔前の考え方に縛られてたまるか。
「そういうひどい母親に育てられるから、さなちゃんもこーんなひどい子に育ったのよ」
「さなのことを悪く言うのはやめてください」
「法事のときだって、この子が泣いてわめくから、私ますます悪者になっちゃったんじゃない。ひどいわねぇ」
さなは自分を悪く言われていると気づき、義母の横を離れ、私の隣にやってくる。私はさなをギュッと抱きしめた。
「言いすぎです。さなに謝ってください」
「嫌よ。謝らないわ。私悪くないもの」
「一体何しに来たんですか?」
「ちゃんとした話をしようとしに来たのよ」
義母はニヤニヤ笑ってお茶を飲む。
「第一腐った食べ物を送ってくるって言ってたけど、それも全部嘘でしょう?私がいつ腐ったもの送ったかしら、嘘ばっかり!」
「何も嘘じゃありません。証拠ならここにあります」
私は、実母に毎回送っていた野菜の写真を見せる。
「私、お義母さんから腐った野菜が送られてくるたびにすべて写真に撮って、私の母に送ってます。これが立派な証拠です」
「そんなことまでする!?そんなに私をいじめたいの?!」
「いじめてるのはお義母さんのほうでしょう」
さなが驚かないように、声を静かに張る。
「これでもまだ、自分は悪くないと思ってるんですか?」
「そんなの、証拠のでっち上げよ!私を追い込んでいるあなたの方が悪いわ、最低な嫁よ!」
義母がキーキーと声を張り上げる。さなが私の腕のなかで、ギュッと丸まる。
「それに…何も関係がないさなを巻き込むなんて、あなたの方が最低じゃないですか。人としてもう関わりたくないです。金輪際、お義母さんの顔は見たくありません」
「あなた、言っていいことと悪いことがー…」
義母が真っ赤な顔で絶叫するのと同時に、玄関のドアが開いた。慎吾が帰ってきた。義姉の彩香を連れて。