婚姻関係にある配偶者がいるけれど、家庭の外に恋人を作るのが「婚外恋愛」。
肉体関係を持てば不倫になるからと、スキンシップに留めることで「セーフ」「罪にはならない」と考える人たちは実際にいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
恋愛とはそもそも何なのか、肉体関係を避ければそれで何が「OK」となるのか、婚外恋愛をしている人のリアルをご紹介します。
独身男性におかしな関係を持ちかける既婚女性

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40歳で既婚の石川さん(仮名)には、夫以外にお付き合いしている男性がいます。
会社の後輩で、同じ部署になったことをきっかけに親しくなり、「男らしさを売りにする夫とは違う柔らかい接し方に好きになった」そうです。
男性からも恋愛感情を向けられていると感じた石川さんから告白した際、「あなたは結婚している人だから付き合えません」と丁寧に断った男性に対し、「寝なければ問題にはならないから」と、ベッドで過ごすことはないけれど恋人関係になることを求めます。
「彼はびっくりした顔で私を見て、いますぐ返事をするのは無理と言いました。勝手ですよね、ベッドでの時間はないけれど彼氏になってくれなんて。でも、その週の金曜日に彼から『その条件で本当にいいのか』と聞かれ、うんと答えたら付き合うことを決めてくれて」と、石川さんはため息をつきます。
疑問だったのは、会社の後輩にそこまで強気に出ることができる気持ちで、それを尋ねると石川さんは「彼はリードされるのが好きというか、業務でも指示待ちが多いけれど言えばすぐやって報告も欠かさないし、『いつも感謝しています』『あなたのおかげです』って、優しい言葉もくれるんですよね。
それまでランチに何度か誘っているのですが、全部OKしてくれて『次はここに行きませんか?』って提案もしてくれて、押せば付き合ってくれるだろうと調子に乗っていました」と、当時の自分の勢いについて話してくれました。
独身である男性に、既婚の自分が異常な関係を持ちかけることをよしとできる「勢い」、石川さんはなぜそこまで男性と交際がしたかったのでしょうか。
夫への不満と、「離婚までは決断できない」自分

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石川さんには3歳年上の夫がいて、結婚して15年になるといいます。
お子さんはひとりで現在中学生、「家族の仲はいいほうだと思います」ときっぱりと口にしました。
石川さんには明るく誰とでも気さくに話ができるおおらかさがあり、対して夫のほうは「付き合っているころから男らしさにこだわるというか、メンツを気にする人でしたね。女性は大事にするものだけど男についてくるのが当たり前、っていう価値観はいまも変わっていません」と、会社の後輩男性とはまったくタイプが違います。
家族仲がうまくいっているのなら、家庭の外で彼氏を作る気は起こらないのではと思いますが、「娘を産んでから育児はすべて母親である私の仕事で自分は家族のために仕事に精を出すのが筋と勝手に決めて、家事もあまりやらない夫に嫌気が差してきました。
外で上司に会うと『妻が家庭を支えてくれています』とか笑顔で言うのが嫌で。あれって、『できる妻だから俺は仕事に没頭してもいい』ってアピールで、実際に私がどれだけ大変な思いをして時短勤務をこなしていたかなんて想像もしていないんです」と、夫についてネガティブな感情があるのを明かしてくれました。
それでも「喧嘩になるとあっちが強く出るから私は黙るしかないし、娘はそんな夫でも一緒に遊んでくれるから懐いているし、私さえ我慢すれば家庭は回るのでそれでいいと思っていました」と、耐えることで大きなつまずきのない結婚生活を維持してきたそうです。
そのストレスの反動が、「家庭の外で彼氏を作る意欲」になり、会社の後輩男性に心が傾いた原因かもしれません。
「離婚は考えないのですか」と尋ねると、「何回か想像はしたのですが、どう考えても夫が反対する様子しか浮かばないし、シングルマザーで娘に寂しい思いをさせてまで離婚しなくても、何とかなるだろうと諦めてきましたね」と、小さな声で答えました。
「夫への不満は募るが、一方で離婚する決断もできない。その中途半端な自分へのストレスもあった」と石川さんは言います。
その結果、手にしたのがいわゆる「婚外恋愛」であり、自分の思いを受け止めてくれた後輩男性との関係は水面下で続きます。