指示待ち人間を増やす「時短」
たとえば「30分」と会議時間を決めれば、会議時間は短縮できます。それが目的ではないことは、誰もがわかっていることです。そうはいっても、「まずは時短からだ」「ダラダラやっても仕方がない」「緊張感を持ってやることが重要だ」いろんな意見があるでしょう。
実はここに大きな落とし穴があります。このような会議の効率化への取り組みが、結果的に受け身の姿勢を助長し「指示待ち人間」を増やすことになります。そして、裸の王様が誕生するのです。
それがよくわかるのが、「余計なことをいわない」という言葉。そう思ってしまった時点で、それはもう傍観者と同じです。実際、社内インタビューなどではこの言葉がよく聞かれます。確かに余計なことは余計であり、いう必要はありません。しかしそれらは決して余計でなく、ただ我慢しているだけなのです。
「効率化=時短」ではない
「阿吽の呼吸」という言葉があります。お互いの意思が通じ合っている状態です。それこそ、余計はことをいう必要はありません。仮に会議の出席者全員が阿吽の呼吸であれば、とても効率のよい会議になります。
では、どうすれば阿吽の呼吸になるのか。そこまでいかなくても、どうすれば近づくことができるのか。その答えのひとつが「普段のコミュニケーション」です。そもそもコミュニケーションが悪い状態で、どうしてファシリテーションができるでしょうか。効率よく会議が運営できるでしょうか。
決して、仲よくなれといっているわけではありません。コミュニケーションは相互理解です。まず、このコミュニケーションを取ること。ここが原点です。ムダな会議が多いという組織は必ずコミュニケーションがよくありません。
コミュニケーションが悪い状態でいくら会議に仕組みを入れても会議の質は向上しません。時間は短くなっても、それはムダな会議でしかないのです。
まずは土壌づくりから始めましょう。それには時間が掛かります。時間を掛けずにやろうとするから、元の木阿弥になってしまうのです。
小手先の取り組みで結果が出続けるような甘い業界は存在しません。会議がムダだと思ったら、まずはコミュニケーションの機会を増やすことからスタートです。これこそ、急がば回れなのです。
会議がムダだと思ったら、コミュニケーションを増やすこと。効率化と時短はイコールではありません。時間よりも、まずは会議の質を高めてください。