反発させてしまったのは自分
ではひとつ、ニュアンスを変える練習をしておきましょう。仮にいまいる場所で、飲食はしないでもらいたいとします。それを伝えるにあたって、「飲食禁止」とするとネガティブニュアンスとなり、命令の印象が強くなります。ではあえてこれを、ポジティブニュアンスで伝えるとしたならば、みなさんならどんな伝え方をしますか?
この場合は、しないでほしいこと・できないことが、「ここで食べる」こと。して欲しいこと・できることは、「別の場所で食べる」ことです。つまり、「飲食は○○でしていただけます」「○○に飲食スペースのご用意がございます」などのメッセージが正解ですね。
このほうが、案外素直にその場所に行ってくれるものです。「飲食禁止!」というネガティブなニュアンスを使うから、余計な反発を招いてしまったりするのです。「えー、水もだめなんですか?」とか、「じゃあどうしろっていうの」とか。
そんな答えが返ってくるから、またイラッとしたりして「水もだめなんていってないでしょ」なんてやり返したくなったりして、さらに状況は悪化するわけです。
「いい方はひとつじゃない」この当たり前中の当たり前を、いま1度しっかり思い出して、特に重要なときにはちょっとだけ立ち止まってみてください。本当にそのいい方が「ベスト」なのか?と。
正直、相手が気持ちよく動いてくれたら、1番気持ちがいいのは自分自身。相手にいちいちつっかかってこられたら、誰だっていい気持ちしないですよね。でもそういう相手がいると、「この人はなんでこうなんだろう」と思ってしまうのです。
これは理由を相手の中にのみあると決めているようなもの。「この人はこういう人だからこういうことをする」という理解。そこにすっぽり抜けてしまっているのが、「その人をそうさせている自分」もそこにいるということ。
そんなつもりはなくても、そんな気はなくても、たとえば言葉選びひとつといったちいさな積み重ねが、少なからずコミュニケーションには影響を与えているということを忘れてはなりませんね。
ただちょっぴり言葉を変える。ちょっとだけ言葉を足す。それだけでも確かに変わるものがあるのです。今日からもう少しだけ、自分の使う「言葉のニュアンス」に意識を持ってみませんか?
- image by: Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。