言葉には2つのニュアンスがあります。「ポジティブニュアンス」と「ネガティブニュアンス」です。その違いは本当に微々たるものですが、伝わり方は大きく異なります。
少し言葉を変える。少しだけ言葉を足す。それだけで、相手と良好な関係を築けるようになるし、願いも通りやすくなります。今回は「言葉のニュアンス」についてお話しましょう。
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「コーヒーでいいや」
よく使われているのが、「で」と「が」です。たとえば、喫茶店などでコーヒーを注文するとき。「コーヒーでいいです」というのか、「コーヒーがいいです」というのかで、受け取る側にちいさな変化を生ませています。受け取り方が微妙に違う、ということです。
「コーヒーでいい」だと、なんとなく投げやりな感じがしませんか?その「何となく」感じるものこそが、ニュアンス。この場合、「で」がネガティブニュアンス、「が」がポジティブニュアンスです。
「で」はたったひと文字ですが、そこには「諦め」のニュアンスが含まれています。「(ほかがいいけど、それしかないから)コーヒーでいいです」。この()の部分を、受け手は勝手に補足して受け取るのです。
強烈なニュアンスの影響力
恋愛だって「君でいいから付き合って」「あなたでいいから付き合って」なんていわれたら、いい気はしませんよね。「でいい」って何?と、多くの人が感じるのではないでしょうか。たったひと文字、でもそこには強烈なニュアンスの影響力が含まれているのです。
ところがこのニュアンスの怖いところは、いう方は「何気なくいっている」ということ。そんなつもりはないのです。
本当は「コーヒーがほしい」のに、何となく出た言葉が「コーヒーでいい」だっただけ、ということがほとんど。ところが聞き手は、本心なのか何となくなのか、なんていちいち考えていません。
単純に、言葉の「意味」と「ニュアンス」の両方が同時に飛んでくると、「意味」よりも「ニュアンス」に反応するという反射的な感覚があるということです。
家庭でもこんなやり取りはありませんか?「何食べたい?」「ん?何でもいいよ、カレーでいいよ」「カレーでいいって何?なら自分で作れば」「何で?カレーっていったじゃん」「いや、そんないい方するなら自分でやって」。
怒られている方は、何で怒られているのかすらわかっていないこともあります。しかしニュアンスというのは、いった方の「つもり」に関わらず、聞き手が受け取るものなのです。