マスク越しのコミュニケーションポイント2.話しかた
マスクによってブロックされてしまうのは、視覚効果だけでなく、聴覚効果も当然含まれます。口の前に布があるわけですから、声が小さくなるのは当たり前。ですが、案外声の大きさには気が回っていないことが多いようです。
声の大きさを数値で測ったとある実験において、マスクなしで聞こえる音が60dbに対し、マスクありで聞こえる音は40dbに低下したという結果が出たそうです。40dbというのは、マスクなしの状態でささやき声で話しているときの大きさです。
つまり、周囲の状況による部分はあるにせよ、マスクをした状態で普通にただ話していると、相手にとってはささやき声で話されているのと同じくらいの聞こえにくさが感じられるということですね。
私も経験がありますが、聞きとりづらいというのは相当なストレスです。どんなにいいことをいっていても、聞くことが疲れる状態だと、内容がはいってこないし、気分がよくないし、場合によっては途中で聞くことをやめてしまうかもしれません。
マスク越しの声の出し方&話し方においては、「前」「上」「上下」と覚えておきましょう。「前」というのは発声のことです。マスクをした状態で声を出すときは、より意識的に前に飛ばすことをイメージします。
舞台俳優のように何十メートルも前に飛ばす必要はありません。ほんの30〜60cmくらいでいいのです。マスクに向かって声を出すのではなく、マスクを通ってさらに前に飛ばしていくという意識を持つことがまず重要です。
次に「上」というのは発音のこと。発音は普段より1音高めくらいのほうが聞きやすくなります。低くボソボソ話すのが1番聞こえづらいものです。マスクをするとどうしても1音下がって聞こえる傾向があります。とはいえ高すぎるのはキンキン響いて不快なこともありますから、1音くらいでいいでしょう。
普段「ファ」の音なら「ソ」、「ソ」の音が多いなら「ラ」というイメージです。そして「上下」はアクセントです。日本語は本来アクセントがしっかりあるリズムのある言語です。ところが、アクセントが潰れてしまって「平板化」していくことにより、わかりにくさを助長させていることが多くあります。
たとえば「ありがとうございます」の場合、本来「り」の音が1番高くなりだんだん下がってくるのですが、ここが平板になって「あーがとーございます」のようになる。リズムが感じられないぶん、抑揚がなくなり、これまたボソボソ声に近づいていくのです。
マスクという声にとっての邪魔者に、表現の邪魔をさせないためには、これまで以上にしっかりアクセントをとって話してみてください。
以上、ほんのちょっとしたコツではありますが、この「前」「上」「上下」のポイントを意識するだけで、マスク越しであることが気にならないくらいの話しかたは実現できます。上記の意識を持ちながら実践&調整しつつ、ベストなポイントを身体で掴み取っていきましょう!
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