時間管理(タイムマネジメント)とスケジュール管理の違い、わかりますか?
『カンタン!効果的な!時間管理術!メールマガジン』著者であり、数少ない時間管理専門のプロフェッショナルとして多くの企業研修を担当する水口です。
きょうは「時間に余裕がない」という状況について考えてみましょう。
「いつも時間ギリギリ!」になってしまう理由
私は、昼食や移動の時間に余裕を持てるかどうかは、時間に余裕があるかどうかよりも、考え方や習慣の方が影響しているように思います。
待ち合わせなどの予定があったとき、余裕を持って行動するのが普通だという人もいれば、ギリギリの時刻になってから行動し始める人もいます。
ちなみに、私は昔は後者(ギリギリ)でしたが、いまは前者(余裕を持つ)タイプです。つまり、こういう傾向は変えることもできるということです。
昔の私は、なかなか余裕を持って行動ができなかったんですよね…。その理由はどこにあるのでしょうか?
私が、時刻ギリギリになりがちだった原因はいくつかあります。ひとつは、段取りが悪かった場合です。
たとえば「さあ出かけようか」というときに、必要なものがカバンに入っていないことに気づき、あわてて準備するけど、出るのが遅くなってしまうという感じです。
ただ、これは割と明らかな失敗なので自覚しやすいですし、その後は気をつけたりするので、そう何度もくり返しはしません。
もっと根深いというか、一番の原因だったのは「踏ん切りがつかない」ことです。
たとえば「○時○○分の電車に乗らなきゃ」と分かってる場合に、その時刻が近づいてくると「まだいける」「もうちょっとだけ」「急げば駅まで○分だからもう少し」そんなふうに思いながら、なかなか席を立たなかったりするんですよね。
当時の私はそれが「時間を有効に使っていることだ」と思っていましたが、いま思えば、なかなか踏ん切りがつかなかっただけだったと思います。
それで結局ギリギリになってしまい、あわてたり、イライラしてしまったりしてたんですよね…。
「時間ギリギリ」をやめられた方法とは
こういう「ギリギリ」になる悪い癖をやめられたのは、「どっちが得なのか?」ということを考えたことも一因です。
たとえば仕事で言うと ギリギリの時刻まで自席で仕事をして、それから駅へ向かう場合と、それよりも5分早く出て、駅へ向かう場合を比較してみましょう。
前者の方がタスクを行う時間を少し(5分)増やすことができます。でも5分というのは1日の仕事の時間の中の約1%にすぎません。
その1%を増やすために、駅までの道のりで急いだり、焦ったり、走ったり、イライラしたりするのは(全部私がよくやっていたことですが)ぜんぜん割に合わないと思います。
そんなところでイライラしたりしていると、その後の自分のパフォーマンスにも影響してしまいますし、その後の仕事の効率が下がる可能性もあります。また、電車に乗り遅れて約束の時刻に遅れてしまうというリスクも考えると、ますます良くないですよね。
でも、もっと大きかったのは、時刻の基準の取り方を変えたことです。
先の例で言えば、電車の時刻を基準に考えていると、つい「まだ大丈夫」と思ってしまいますし、踏ん切りがつきにくいです。
それよりも「○○時○○分に出る」と、席を立つ時刻を決めておく方が、踏ん切りをつけやすいです。私は、この時刻を「行動開始時刻」と呼んでいます。この時刻はそれなりに余裕を持たせた時刻で、事前に決めておき、スケジュールにはその時刻の方を書いておきます。
こうすると、電車の時刻を基準にしていた頃よりも踏ん切りをつけやすくなって、余裕を持って行動しやすくなりました。
これって、どちらを基準にするかだけの問題ですから、実質的にはあんまり変わらないはずです。しかし、実際にやってみると、不思議と自分の行動が変わるんですよね。
遅刻グセのある人の心理
実はこの方法をやり始めたのは、ある話がヒントになったんです。
それは、ものすごくひどい遅刻をする人の話です。1時間とか2時間とか、そういう遅刻ですね。寝過ごしたとかでもなく、特にこれといった理由もなく、そういう遅刻をしてしまう人です。
※おそらく、先ほどの「踏ん切り」が悪いので家を出られないのではないかと思います。
普通に社会人をしているとそういう方にはなかなか会えないので、聞いたり読んだりした話ですが…。そういう方々は「待ち合わせの時刻に家を出る」というパターンが割と多いみたいです。つまり、待ち合わせの時刻はちゃんと頭に入っていて、その時刻に家を出ようとするそうなんですね。もちろん、それでは遅刻してしまうんですが…。
ちょっと不思議な感じがしますが、印象的な話でした。そしてその話で思ったんですが、そういう人に遅刻させないためには、待ち合わせの時刻ではなく「家を出るべき時刻」を伝えておけばいいですよね。そうすれば、かなり遅刻を防げそうです。
それを自分自身でやるならば、自分で「家を出るべき時刻」を事前に決めておいて、スケジュールに入れておく。そして元々の待ち合わせの時刻は忘れるように努力する。この方法でも効果はあると思います。
この時刻が先ほどの「行動開始時刻」なんですね。私くらいの(軽い)踏ん切りの悪さであれば、行動開始時刻を書いておくだけでもかなりの効果がありますし…。
もっと踏ん切りがつかないという人は、「元々の待ち合わせの時刻を忘れる」(元々の電車の時刻を忘れる)ように努力してみると、さらに効果があると思います。
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