仕事ができる人もモヤモヤしている?
仕事やプライベートに関して、誰でも多かれ少なかれ悩みがあると思います。「悩まない」と言う人はほとんどいないし、もしいたとしても、少数の本当に心の強い人以外は、強がりを言っていることの方が多いのではないでしょうか。
仕事ができる人、事業を成功させた多くの経営者も悩みます。高度な悩みももちろんありますが、家族の悩み、部下への悩みなどは普通の人と大差ありません。
仕事はうまくいっていても、子どもがものすごくわがままになり、人にも迷惑をかけるようなことばかりしているとか、同期が競争相手になって足の引っ張り合いばかりしているとか、仕事にのめり込みすぎて家族の心が離れてしまったとか、悩みの種は尽きません。
そういう人でなければ、悩みの種はさらに多いとも言えます。就職したくてもできない、収入が低い、就職できたと思ったらパワハラ、セクハラ、転職しようにも転職難、借金が雪だるま式に増える、家族が病気、などです。
ところが、いくら悩んでも、それだけではあれこれ悩むだけで堂々巡りから抜け出ることがなかなかできません。
悩んでも考えが深まるわけではなく、あれこれ悩んで行ったり来たりすることがほとんどで、悪循環から抜け出せません。
ぐるぐる悩んでいてもモヤモヤは消えない

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悩むのは、何か問題があっても、どうしたらいいかわからず困っている時です。「どうしたらいいだろう」「こうしてみようか。でも、別の問題もあるし」「簡単には何もできない」ということで立ち往生しがちです。
解決しようとしていないというわけではありませんが、いくつかのことが絡んでいるので、解決できるような気がしないのです。
例えば、ある企業で家庭用ウォーターシステムの企画開発・事業化を進めていたとします。インターネットにつながって自動で水のボトルを補給するものなので、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの全部を含んだシステムとなります。
従来の製品とは違って、かなり広範囲に他部署と調整しながら進めていかなければなりません。上司、他部署の担当者、その上司、サービス部門の担当者などとの調整が必要なのに、各部署はそういう動きに慣れていないし、企画担当者もこういう交渉自体に慣れておらずすっかり行き詰まってしまいました。
こういう時、いくら悩んでもそれ自体で状況が改善することはほとんどありません。具体的に問題を切り分け、整理し、一つひとつ解決していく必要があります。
サービスの企画、ハードとソフトの開発、部品調達、販売・サービス体制等に分け、他部門と調整しながらリーダーシップを発揮していかなければなりません。悩んでいても何も始まりません。
また、友達や親との関係がちょっとまずくなったなどの仕事以外の悩みもあります。「しばらく我慢したらよくなるかもしれない」ということで何もせず、時間がたって自然に改善することを待っている場合もあるでしょう。
軽度であれば自然に改善することもありますが、ものによってはいくら待っても自然には改善しない場合もあります。むしろ多くの場合、実際に改善に取り組まなければ何も変わりません。
大半の問題は悩むだけでは前進しない、という当然のことが、改めて突きつけられます。
愚痴を言っても何も変わらない
こういう時、愚痴を言う人がほとんどだと思います。ただ、愚痴を言っても何も変わりません。愚痴を言ったからといって、相手が察してくれるとか、代わりに上司に言って問題解決をしてくれる、ということはほとんど期待できません。
通常は、同僚の間でも、お互い、すきがあれば自分の愚痴を言おう、聞いてもらおうとしがちです。人は皆多かれ少なかれ怠惰なので、愚痴は言うものの、自ら何が問題か考え、改善しようとはよほどのことがない限り思わないようです。
あるいは、会社や上司、家族の問題なので、自分だけが何かをしようとしても動きにくいと思うこともあるでしょう。何とかしようとしたけどひどいしっぺ返しに会い、黙っている方がまだ楽だ、二度と自分からは何もしないと思っている方もいらっしゃるでしょう。
愚痴は、嫌なことがあってもどうしようもない、という諦めの心境で、あれこれ口にしてしまうことです。
愚痴を言っている限り、無力感が強く、どんなに嘆いても、それに対して立ち上がって解決しよう、解決の努力をしようという気にはなかなかなりません。
考えない習慣が蔓延している
こういう状況は、残念ながら今の日本には広く見られると思います。学校でも、会社でも、社会全体でも普通に見られます。
嫌なことや自分に不利なことがあっても、多くの日本人はあえてそれを考えようとしないようです。目をつぶろうとします。何とか問題解決しようとする人は少数です。
いつも考えないようにすると、それが習慣になってしまいます。あまり問題だとも思わなくなっていきます。
多分、高度成長期までの日本人はもっと元気に世界中を飛び回っており、問題にぶつかっても何とか解決してきたかもしれません。それがこの数十年、すっかり変わってしまいました。
全員が全員ではもちろんありませんが、非常に多くの人が問題の解決をあまり真剣に考えず、悩むだけで何もしない、ほとんど何も考えていないように感じます。