こんにちは。メンタル鍼灸師の米倉まなです。
12月という月は、1年を振り返る静けさと、新しい年を迎える期待とが混ざり合う、不思議な時間です。
街はきらびやかでも、心の奥はなぜかざわついたり、ぽっかりと穴が空いたように感じたり──実はそんなご相談が毎年この季節になると増えていきます。
「今年も何もできなかった」「また同じところをぐるぐるしている気がする」「周りは前に進んでいるのに、自分だけ取り残されている」
そう感じてしまうのは、あなただけではありません。実は、冬の気候や身体の変化が、心の働きにも深く影響しているのです。
“気”が内側に戻る季節

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東洋医学では、冬は「蔵(ぞう)する季節」とされています。エネルギーを外に放つ春夏とは違い、冬は“気”が内側に戻り、体も心も静かに閉じていく時期。
この「内向きになる力」が働くことで、普段は見ないようにしていた感情や疲れが、ふっと浮かび上がってくることがあります。
まるで、表面の雪の下で、地面がひっそりと呼吸をしているように。
そのためこの時期は
- 気力が出ない
- 涙もろくなる
- 眠りが浅い
- 孤独感が強くなる
といった変化が起こりやすくなります。
これは“あなたが悪い”のではなく、“冬がそういう季節”なのです。
腎をいたわると、こころが落ち着く
冬に最も影響を受ける臓は「腎(じん)」。腎は生命エネルギーの源であり、精神面では「意志の力」を司ります。
東洋医学では、腎が弱ると不安感が増し、考えすぎたり、未来を悲観しやすくなると考えられています。
●腎を養う冬のセルフケア
- 下腹部と腰を冷やさない
- 黒い食材(黒豆・ひじき・黒ごま・きくらげ)を意識してとる
- 深い呼吸を3回だけでもいいので毎日行う
- 足湯で「腎の気」を温める
「え、それだけでいいの?」と驚くかもしれませんが、腎がほんの少し温まるだけで、こころの芯がじわっと整い始めることがあります。
まずは自分を労る、という気持ちから。
今年を責めなくていい
12月になると、私たちは無意識に“点検モード”に入ります。できたことよりも、できなかったことに目がいきやすいのは、人の脳のクセなんです。
でも、私は鍼灸院で患者さんの身体に触れながら思います。
「今年を生き抜いた」という事実はあなたの力なんです。
落ち込んだ日も、涙を流した日も、布団から起き上がれなかった日も──そのすべてが、あなたの生命力が続いている証です。
人は何もしていない時も、一歩ずつ歩いている。そういうもの。
冬に心が弱まるのは、自然の巡りと同じこと。その揺らぎを受け入れた先に、新しい芽吹きが静かに準備されています。
生きづらさは、未来の入口
“生きづらさ”という言葉は、痛みを含んでいますが、同時に、未来へつながるサインなのではないでしょうか。
苦しさがあるということはあなたがちゃんと「感じる力」を持っているということ。その感性は、来年のあなたを創る大切な種です。
もし今、つらさを抱えていたとしても、もうあなたは気づいている。
それはあなたが壊れているのではなく、“変わろうとしている途中”なのです。
最後に
この冬、まずは自分をあたたかく包む時間をつくってください。
優しいお茶でも、ゆっくりした呼吸でも、ふと空を見上げるひとときでも構いません。体だけではなく、心も。
あなたの心が少し軽くなり、新しい年を迎えるためのエネルギーが満たされていきますように。
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