書籍、講演、コミュニティ――幅広く活動を展開する大杉日香理さん。一般的な神社巡りやスピリチュアルとは一線を画す、体系的な「神社学」を提唱して多くの人々の人生を変えてきました。
「神社参拝は祈ったり願ったりするだけではない。自分のポテンシャルを発揮して、望む現実を作るために活用するもの」と語る大杉さんが、なぜいまメールマガジン『大杉日香理の「強運をひらく」神社学』を始めたのか。
2027年に訪れるという「新時代」に向けて、私たちはどう生きるべきなのか――その想いに迫ります。
(聞き手・bythem編集部)
神社が忘れられていく現状に「もったいない」
――本日はインタビューをお受けいただきありがとうございます。まず、大杉さんが「神社学」という形で発信を始められたきっかけを教えていただけますか?
大杉:原点は高校時代にあります。母が長野県の出身で、長期休みのたびに訪れていた場所に、歴史的な史跡と神社がありました。そこに入り浸っていたんです。湖畔にある神社で、なぜ昔の人はわざわざこんな山奥の神社にいろいろなものを奉納したのか……そういったことをずっと考えていました。
ある時、夏休みに訪れたら、その神社に至るための看板が朽ちてボロボロになっていたんです。このままでは興味のある方しか行かなくなり、せっかくの聖地が埋もれてしまう――そんな危機感を感じたのが大きな理由ですね。
――それで「伝えなくては」という使命感が生まれたと。
大杉:そこまでは思っていなくて、当時は「もったいない」という気持ちが強かったんです。実は高校生の頃、大河ドラマを毎週見ていて、給食の時間に講談のようにクラスメイトに話すのが恒例だったんですよ(笑)。その延長で、自分が経験してきたことを話してみたら、すごく好評で「行ってみたい」と言ってくれる人が多かったんです。
その後、実際に起業の準備をしている時に、お客様から「一緒に神社に行ってほしい」と依頼されて。その方の目的をお伺いして、目的に合わせた神社を順番にピックアップして、ご一緒したところ、とても喜んでいただけて「もっとやってほしい」と。それがきっかけで、これは求められているものなんだと気づきました。

image by:大杉日香理
「自力」と「他力」の両輪で現実を変える
――大杉さんが提唱する「神社学」について、もう少し詳しく教えていただけますか?
大杉:一番大事にしているのが「自力」なんです。自力というのは、ご自身が気づいていないポテンシャルも含めて、気づいていることもぜんぶ含めて、自分で成していくこと。行動や思考も入ります。
同時に、神社で得られる――まあ、神社だけじゃなく、元々そこにある土地で得られる「他力」として、運とかもそういう外部要因として入ります。それを自転車の両輪として活用していくことで、現実を変えていこうという考え方なんです。
――なるほど。「偶然を待つのではなく、自ら呼び込む」ということなんですね。
大杉:そうです。ただ神社に参って目には見えない存在に祈るだけとか願うだけだと、どうしても自力がおざなりになるじゃないですか。かと言って、内省をするとか感謝だけを伝えるとなると、今度は自力だけになりやすい。両方が両輪としてそろってこそ、あなたの生きていく意味みたいなものも形になっていきますよ、というのをお伝えしたくて「神社学」という言葉にしています。
参拝は神様とのコミュニケーション
――大杉さんは全国2万社以上の神社を巡拝したとお聞きしました。参拝するときの注意点やマナーはありますか?
大杉:神社に参拝するというのは、「神様とのコミュニケーション」だと思っていただくと良いと思います。
人間同士のコミュニケーションをイメージしていただくとわかりやすいんですけど、例えばどなたかと「初めまして、これから信頼関係を構築したいです」という時に、その相手を見ないで、どんな風にドアを開ければ失礼じゃないかなとか、お茶を飲むタイミングがどうかな、ばかり気にしていたら気疲れするじゃないですか。そうしたら相手側からも「私のこと興味ないんだな」「自分の振る舞いだけに集中しちゃってるんだな」って思われますよね。
マナーというのは、その方と仲良くなりたいという想いが先にあった後の振る舞いなんです。もうちょっと付け足すと、今あるお作法のやり方――二礼二拍手一礼みたいなのって、ぜんぶ明治時代とか戦後に作られたマナーなんですよ。
――そうなんですか!
大杉:それを順守していただくというお気持ちは大事だけど、失礼があっちゃいけないって気疲れするぐらいだったら、まずはその神社の空気――空気自体に神様のエネルギーって漂ってますので、そことなじませてリラックスしてから参拝いただいた方が、信頼関係を構築しやすいと思います。
――大杉さんのまわりで、一緒に神社に参拝することで人生が変わった!というような事例があれば教えていただけますか?
大杉:印象的な例では、すごく真面目で、100人が会ったら100人が「あなたって真面目ですよね」って言うような女性の方がいました。会社でもご家庭でもその調子だったんです。
その方が神旅(神社ツアー)で参拝をさせていただいて、「あなたの本質って実はそこじゃないよね」っていう話をしていくうちに、実は天真爛漫に自由自在に、自分の興味があったらそこに体を先に動かして走っていきたいみたいな、そういう幼少期であったことを思い出されたんです。
――それは大きな変化ですね。
大杉:それからですよ。それを思い出した瞬間から、もう動きが全然違うんです。一緒に参拝していたチームの方々が「動きが違う」って気づいてフィードバックをされたことで、「本当は私って、興味があるものに自分から動いていける人なんだ」って気づかれたんです。
その方、なんと60過ぎてるんですけど、借入れゼロで自宅を建てましたね。しかも会社員ですよ。やっぱり自分の本質というところに戻っていただくと、まわりからの評価がまず変わるので、銀行からの評価も変わるわけです。何よりご主人との関係性がもう良くなって、嫉妬されるようなこともなく「いいよ、いいよ」みたいな感じで、めちゃめちゃ協力的なんです。
来たる2027年の「新時代」に向けて
――今回、メールマガジンを始められた理由を教えてください。
大杉:まず大きな点として1つ目は、やはりまぐまぐさんというのはメールマガジンの老舗じゃないですか。当時から私も読者として、憧れの場所でもありましたし、その中で人気のあるメルマガを書かれている方は、本当に現実を生きているというか、現実を形にしていくという素晴らしい方ばっかりでしたので。
私も書き手として、やっぱり文章から得るエネルギーというのを活動の中で大事にしているんですね。もちろん写真とか動画とかいろいろな媒体は時代に応じてありますけれど、やっぱり初心に帰って皆さんに伝えたいというところが一番強いです。
――文章だからこそ伝えられることがあると。
大杉:はい。映像とか音楽があるとか、そういう複合的なアーティスティックなものも想像力をかき立てるという意味では重要だと思ってますが、同時に文字しかないという制約の中から情報を得ていく想像力というのが、私がお伝えしている「神社学」にとって重要な、強運体質になるために重要な要素なんです。その想像力を磨いていただきたい、という想いで書かせていただいています。

image by:大杉日香理
――メールマガジンの中で、2027年以降の「新時代」について触れられていますが、くわしく教えていただけますか?
大杉:運気というのは「川の流れ」のようなもので、1種類ではないんですね。世界中に存在している川の数ぐらい、いろんな運気があるわけですけれど、その運気が切り替わっていくと新しい川の流れになる――それを新時代と呼んでいます。
今回は数えきれないぐらいの大きな転換期がいくつも重なるんです。その中でも重要視しているのが、まず400年に1度の切り替わりなんですね。今から400年前って、ちょうど大阪の陣が起こった頃で、それまでの時代って武士が戦で名を上げるという、どれだけ人をやり込めるかというのが価値だった時代じゃないですか。それを今度は命は大事だよっていう時代に切り替えていかなきゃいけなかった。
――それぐらい大きな変換がやってくると。
大杉:具体的には、まずこれまで組織とかチームとか、人が集まることで何かをなしてきたということが、だんだんと解体されていきます。あとは物理的なわかりやすい数字とか実績とか肩書き、こういうものの価値が暴落してくるというか、価値を感じない時代になってくるんです。
やっぱり個の力、自分がどうであるかと同時に、自分は人間としてどんな価値を社会に提供できるのかっていう、その結果として肩書きがつくっていうのは別にいいと思うんですけど、先に資格試験で肩書きをとか、プロジェクトチームで全体を動かしていこうとかではなく、結果チームになるとか、それがすべて後付けになってくるっていうことが起こります。だからやっぱり個の力、私がお伝えしている「自力」を磨いていかないと、ちょっと難しいかなっていう時代がやってきます。
AI時代における「神社学」の役割
――AIやテクノロジーが発展していく中で、「神社学」はどういった役割・意味を持っていくと思われますか?
大杉:神社は、ただそこにある物理的なものではないということを、歴史であったり地理であったり、先人の心理と事例でお伝えしています。これは神様とか龍神っていう話だけではなくて、なぜそこに神社が作られるに至ったかという、時代ごとのその土地の見方というのをまず得ていただきます。
それって想像力じゃないですか。ということは、想像力があってAIを使うのと、まったく想像性がないままAIを活用するのでは、アウトプットされてくる価値が変わりますよね。
――確かに、そうですね。
大杉:これって、インターネットのアプリケーションとかが出た時もそうだと思うんですよ。例えば元々アナログで絵を描く技術を持っていた方が、ツールの1つとしてアプリケーションを使っていたのと、初めからその技術がない方がアプリケーションを使うのでは、成果物が変わりますよね。
あと「タイパ(タイムパフォーマンス)」もやっぱり変わってきます。いわゆる現在って、西洋の価値観での物理的な時間をいかに短縮するかなんですけど、これって限界があるじゃないですか。でも「神社学」の中での日本の先人がやっていたタイパって、まったく違うんですね。いわゆるゾーンっていう時間感覚と、肉体感覚――脳も臓器なので、肉体としてそれをコントロールしてハイパフォーマンスで進めていくっていうのが、神社学でのタイパなんです。
全国2万神社を巡拝したなかで、おすすめは?
――おすすめの神社がもしあれば、教えていただけますか?
大杉:まず全国でおすすめなのは、もう宮崎ですね。宮崎県、日向の国。こちらは現在の今上天皇陛下が126代ですけれど、初代天皇である神武天皇が生まれ育った国なんですね。
そこで45歳ぐらいの時に天命を受けて、東に自分の収めるべき場所があるぞって言って出発したのが始まりなんですけど、その神武天皇を祭祀する神社がたくさんあるんですよ。その中でも「立磐神社」という神社がありまして、この地域を美々津と言うんです。ここから神武天皇が出航しているんです。
――新しい時代に出発するという意味があるんですね。
大杉:はい。これから新しい時代に出発するぞという意気込みを持って、皆さん参拝していただけたらと思います。
――行ってみたいです!東京都内だと、どこがおすすめですか?
大杉:「多摩川浅間神社」という神社があって、ここがですね、参拝をするだけじゃなくって、高台で多摩川沿いにあるので、南向きに日がさんさんと当たるのと、ちょうど南西のところに天気が良かったら富士山がばっちり見えるんですよ。
元々はその土地に対する神様をお祭りする――その土地が重要だから神社を立てるという順番であることを考えると、そこはもう富士山も見えるし、水も取れるし、日当たりもいいしということで、古墳も山のようにある地域なんですね。ということは、古墳時代のもう1000年以上昔から、1500年、1600年とかもっと前ぐらいの前から、そこは聖地であるというのを先人の方々が教え続けて、結果、いま神社になっているんですよ。
やっぱり日本の中の一番の聖地は富士山ですから、都内で富士山って言ったらもうそこが一番。ぜひあそこからの富士山を皆さんにご覧いただきたいです。
読者へのメッセージ
――最後に、メールマガジンを読むか迷っている読者さん、または人生の岐路に立っている方に向けてメッセージをお願いします。
大杉:そうですね、世の中はぜんぶ「陰と陽」の混ぜ合わせの割合で、適宜状況が変わってきます。ということは、あなた自身がいま霧の中であろうと、黒いモヤモヤの中でもう人生終わったんだって思っていようと、それは今そういう視点を持っているだけで、完全にゼロっていうことはあり得ないんですね。
だから、いくらでも挽回のチャンスはありますし、もう頭打ちだって言ったところの突破口は必ず存在しているんですよ。ただ自分の限界・盲点というのは人間は誰でもあるので、その盲点に気づかせてくれるのが、先人が残してくれた見えない世界の力です。ぜひ私と一緒に、その「他力」を借りていただきたいと思っています。
――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
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