女性の幸せな働き方を追求する起業家、内田琴美さん。リクルートを退職後、独立して5年。数々の困難を乗り越え、いまでは多くの女性から支持を集めています。
そんな内田さんの新しい挑戦が、ファンクラブの立ち上げです。
2回にわたってお送りするインタビューでは、内田さんの人生の転機や、ファンクラブで伝えたいこと、そして女性たちへのメッセージを伺いました。
「人に愛されること」の大切さ
ーさまざまな経験があっての「いま」なのですね。内田さんのファンクラブに入会してくださった方たちには、どんなことを発信していきたいですか?
内田:いままでずっと伝えてきているのは「失敗なんて、たくさんあっていい」と思ってるということ。
みんな、挑戦してもうまくいかないとすぐ落ち込んでしまったり、他人と比べたりしてしまうんです。けれど、わたしだって毎日落ち込むことあるし、ダメだなって思うことばかりなんですよ。キラキラして見られることもありますが、落ち込むことも当然ある。この「素の自分」を出したいと思っています。
SNSやブログだけでは、日々何を感じてるのか伝わりにくいですよね。いまやってるオンラインサロンでも、悲しかった話、怒った話などたくさん喋るんですよ。「自分はこういうところがダメだと思う」とか「でもこの人がこう言ってくれたから、こうしてみようと思った」とか、お友達に話すような感覚でお話しています。
人間味のある部分を見ていただいて「これでいいんだ」と思ってもらえることが、みなさんの勇気につながると思っているので、そこを出していくのがひとつ。
もうひとつは、「綺麗でいてほしい」ということを伝えたいです。というのも、女性は美しくあった方が絶対に人生で得をすると思っています。美しいというのは見た目ではなくて、心構えなどマインドの面で、です。そこさえ整えていけば、チャンスがやってくるはずです。
ただ仕事をバリバリ頑張ろうとかではなく、周りを幸せにしていくような存在になるための美しさを持って、「一緒にいたら幸せになれそうだ」と思ってもらえるほうが絶対人生が楽しくなると思っています。そういうことも伝えたいです。
ーなるほど。「素の自分を見せていく」に関連して、よろしければここで内田さんの「素の部分」を少しお聞きしたいです。
内田:うーん、なんだろう?モノをよく失くします。鍵をその辺に置いていったりとか、携帯やお財布もよく失くしますね。わたしをよく知る人は「天然」と言います(笑)。
ー意外ですね!休日はどんな風に過ごされていますか?
内田:休みの日は、離れて暮らしている息子に2週間に1回ぐらいのペースで会っています。で、息子に『ポケモンカード』を買わせていただいて(笑)。その様子を見たりしていますね。
それと、バレエも続けています。あとはお風呂に入るのが大好きなので、 1日2回お風呂に入りますね。朝と夜、絶対2回。
ーありがとうございます。内田さんに憧れる女性の方たちは、成功のヒントのようなものを知りたいと思いますが、もし何か言えるとしたら、どんなことでしょう?
内田:いままで本当にいろんな方にお会いしてきましたが、伸びる方に共通しているのは「人に愛されている」ことだと思います。
会社員のときは、自分がどれだけスキルをつけるか、どれだけ市場価値を高めるかが成功の鍵だと思っていました。ですが独立すると、自分ができることって本当に大したことがないとわかったんです。自分ひとりで頑張ったところで、いけるところは限られている。だけど人の力を借りれば、高いところまでいけるんですよ。
だから、成功したいなら「信頼される自分になる」ことが大事だと思います。わたし自身、本当に人に助けてもらっていまがある。いつも、誰かが引き上げてくださっていると思います。
わたしは常に「自分だったらどうしてほしいか」を考えて人に接するようにしていて。相手が後輩でも会社の社長でも関係なく、「この人がどうしたら幸せを感じるか」だけを考えて行動しています。その結果、「これを売っている」と言うと「買うよ」と言っていただいたりとか、「これをやりたい」と言うと「じゃあ紹介するよ」と言っていただいたりするのかなと思います。自分自身というより、周りの人たちの力で引き上げてもらっているのかなと。
ー今後の目標、ビジョンなどは?
内田:独立すると同時に離婚も決めて、息子の親権も彼に譲りました。本当は一緒に住みたかったけれど、当時はお金もないし、仕事もないなかで息子を巻き込むわけにいかなくて。そのとき、1番大事な息子を手放してまでなんで事業をやるんだろうと自分に問いました。
そのときに思ったのは、息子には挑戦するお母さんの背中を見ててほしいなということ。 挑戦している姿をかっこいいと思ってほしいのではなく、これだけ何もないところから始まっても、自分の好きな仕事をして、 自由に楽しく生きられるということを体現している姿を見せたいと思ったんです。
それを見ることによって息子も、「お母さんこんなんだったけど、俺もこんなんでいいか」と、気負わずに自由に生きてほしいなと。息子が社会に出るときに「こういう働き方もあるんだな」と思えるような生き方をしていたいし、そのためにはわかりやすく、会社を作って、大きくして、従業員がいて、みんなが幸せで…という姿を見せることができれば。どん底の状態から始まって、ブログ書いて、「くだらねえ」と言われて泣いていたところから始まって、いまこうだよと言えたらいいなというのはあります。
それは息子に限らず、出会った人みんなが思ってくれたら嬉しいです。わたしみたいな人でもうまくいくんだって思ってもらえたら、それもひとつの成功かなと。もがきながら挑戦し、一歩一歩登っていく姿を見せることによって、周りの人にもいろんな影響を与えていけるようになりたいというのが、 目標としてありますね。
ーロールモデルのような方はいらっしゃいますか?
内田:人で言うと、小室淑恵さんというワーク・ライフバランスの社長をされている方ですね。文部科学省・経済産業省で委員をするなど、世の中の働き方改革に取り組んでいる方です。彼女も起業と同時に子どもを産んで、会社を立ち上げていて。とても綺麗でお話もお上手で、本当に魅力的なんです。
学生時代、彼女に憧れて、どうしてもお近づきになりたくて。話しかけて、家まで行って…と交流もありました。ロールモデルというと彼女が浮かびますね。
ー今後、MagOne上でコンテンツが展開されていくと思いますが、こんなことをやっていきたいなど、意気込みをお聞かせください。
内田:「女性が美しくありながら自分らしく生きる」というのをメインテーマに、これまで2000人以上の女性と個別相談してきた経験を通じて、うまくいっている方や、輝いている方たちの共通点などをお伝えしたいです。
中長期的には、やる気がある方に対しては仕事をご紹介したいとも思っています。というのも、経営者の方々とお話していると、人に仕事をお願いしたいと思っている方がたくさんいることがわかって。必要なスキルを持った人に部分的に仕事をお願いしたいという話を聞いて、わたしの知り合いとマッチングさせることもありました。
全員にできる保証はありませんが、ファンクラブに入ってもらった方にはお仕事の案件などもお伝えしたりして、お金を作れるような感じにしていけたらいいなと。まだ具体的にはなっていませんが、自己啓発的に楽しいというよりは、しっかり仕事になっていく形にしたいと考えています。実際、私のファンクラブに経営者の方も入ってもらっていて、彼らとうまくマッチングして仕事になるような形にしていけたらいいなと。
ーいいですね。女性起業家さんのサロンは多くありますが、お仕事のマッチングをされているところはあまりないと思います。内田さんファンクラブで多くの女性に新しい出会いがありそうですね。
内田:5年間女性の起業支援もしてきましたが、みんながみんな起業しなくてもいいのかなと思って。起業できる人は、わたしの手を借りずにできる方も多いですし、啓発されてやることで逆に失敗体験をつけてしまいかねないな、と。できなかったという結果は悲しいですしね。
起業しなくても想いがあるなら仕事を紹介したいですし、そこは今後ぜひやっていきたい部分です。最近は、ゼロイチで起業するだけでなく、あるもの、つまり仕事をお渡しすることも十分支援だと思うようになりました。
ーたくさんの興味深いお話をありがとうございました。美しく在りながら自由に働く—それは多くの女性の憧れではないでしょうか。内田さんのファンクラブは、そんな夢の実現をサポートする場所になりそうです。ファンクラブはもちろん、今後の内田さんのご活躍を楽しみにしております。
- 取材・執筆:塩辛いか乃
- カメラ:榊原亮佑