人から相談されたとき。悩みがあると、その胸のうちを聞いたとき。
「その人をはげましたい」「元気になってもらいたい」と思うのは、ごく自然な心理です。
そのために必要なのは、アドバイスをしたり、元気や勇気の出そうな言葉をかけたりすることだと、”一般的には”思われています。
ですが、あなたがもし、大切な人を本当に「はげましたい」と思うのであれば、そういった考えは1度封印してください。
なぜなら、深く突き詰めると、そのような行動は、相手のためでもあるからです。
相談することを、ためらう
「助けてあげたい」という強い気持ちで、相談にのったとき。安易かつ無用なアドバイスをしてしまったり、おせっかいを焼いてしまったり、正論で相手の過ちを正そうとしてしまいがち。
しかし、そういった行為は、相談者を”本当の意味で”はげますことにはなりません。というのも、人は落ち込んでいるときほどネガティブな気持ちになる生きもの。
あなたが発した何気ないひと言や、些細なしぐさに傷つきやすくなっているのです。
傷ついてしまった結果、安易なアドバイスによって、相談者が”相談すること”をためらうようになってしまうケースもあります。
答えはすでに、相手が持っている
私は職業柄、さまざまな方から色々な相談をされます。
当然、悩みの内容は、人それぞれ。しかし、どのような悩みであれ、どのようなタイプの方であれ、相談する前から答えはみなさん自分で持っているのです。
私の仕事は、クライアントさんがその答えに自ら気づき、自分を「これでいいんだ」と認めるお手伝いをさせていただくこと。
人は誰しも自分で立ち上がり、自分で足を動かして前に進んでいかなければなりません。ときには、激しく落ち込んだり、悩んだりすることもあるでしょう。
それはそのとき、たまたま立ち上がる力が弱まっているだけで、本来は全員がもっている感情。クライアントさんも、そのときたまたま落ち込んでいるだけで、本来は自分自身で悩みを解決できる方ばかりです。
何かのきっかけで「頑張れる!」と自分で思うようになれたら、周囲の人がお尻をたたかなくても、「明日からこうしてみよう」という気になるのです。
だから、悩んでいる方や落ち込んでいる方には、無理にはげまそうとするのではなく、あくまで立ち上がるきっかけをつくってあげる。それを、心がけてみてはいかがでしょうか。