なぜコミュニケーションが必要なのか。その理由の大前提にあるのは、「幸せに生きること」にあるように私は思います。
神社にいけば、「幸せに過ごせますように」という願いの書かれた絵馬がたくさん結んであるし、スピーチの結びはたいてい「みなさまのご健康とご多幸をお祈りします」だし、自分の不幸を願い、不幸せを望んでそのために努力している人には、いまのところ会ったことがありません。
自分が思う「幸せ」を求めて、人は工夫し、努力し、前に進む。その幸せにおいて、コミュニケーションは切っても切り離せないものなのです。
幸せは「人と関わること」で生まれる
幸福学によると、人が幸福感を感じて生きていくための大事な要素のひとつは、「人と関わること」なのだそうです。
たとえばレストランに入ったとして、そこで店員さんと会話したかしなかったかが、帰るときの満足度や幸福度を変えるといわれています。長い会話や難しい話でなくていいのです。
ただ、「きょうのおすすめは?」とか「きょうは混んでますね」とか、ほんのひと言ふた言でいい。それがあるかないかだけで、心が感じるものは大きく変わるのだとか。少し前に大ブームになった「アドラー心理学」でも、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」といっていますね。
つまり、コミュニケーションを大事にすることは、自分の人生を大事にすること、つまり悩みを減らし幸せに過ごすこと、といえるのではないでしょうか。
「何をするか」より「誰とするか」
人の持つ影響力は大きいです。「何をするか」より「誰とするか」の方がずっと心の栄養に影響を与える。たとえば「仕事」にいくか、「旅行」にいくか、どちらでも選べるとしたら。多くの人が「旅行にいきたいでしょ!」と思うかもしれません。
でも、いっしょに行くのが苦手な人だったら?ものすごく気を遣わなければならない相手だったら?いっしょにいてもまったく休まらないような人だったら?
「そんな旅行にいくくらいなら、仕事をしていたい」と思うかもしれません。「嫌いな人といく旅行」より「好きな人とする仕事」の方が、ハッピーに過ごせるような気がしますよね。
「何をするか」より「誰とするか」。人といかに関わるかが、行動や状況の印象や満足度を変える。よりよく人と関われたなら、すべての物事もさらによくすることができるはずです。