「夫源病かもしれない」妻のSOSに夫は
確かに前回箱根に行ったときと比べて、今回ゲンは比較的スムーズにリコを送り出してくれたような気がした。別件でゲンに連絡を取った際、「なんかあいつ疲れてるから、一緒にリフレッシュしてきてやってよ」といってくれたほどだ。
緊急事態宣言があけて、家族でわが家に遊びにきたときに「自粛期間中、育児大変だったんじゃない?」と筆者が尋ねると、ゲンは「いや、楽しかったよ〜!まぁでも、期間限定だったからね」と笑っていた。
そうなのだ、家事育児を一手に担っている家庭の主婦は、食事づくりに子どもの世話、掃除・洗濯…と、エンドレスにこなしていかなければならない。そこに仕事が加わると、目が回るような忙しさになる。
リコ:「『イライラ、ピリピリするなよ〜』なんていってくるけど、『夫源病かもしれない』って伝えたことで、少しは私に対して気を遣ってくれるようになったのかな。そういった意味では、彼に私の家庭内での役割を体験させてくれた外出自粛期間に感謝かも。いまでも気持ちが不安定になったり、同じ空間にいたくないなって思うことはあるんだけどね」。
「パートナー」だからこそ…
「自分が親になって初めて親のありがたみがわかる」とはよくいわれるが、お互いが担っている家庭内での役割も実際にやってみないとわからないのかもしれない。リコとゲンにとって、新型コロナによる外出自粛は、夫が妻の仕事を知る、いいきっかけになったようだ(ただし、リコは家事育児に加え、仕事を掛け持ちしているので、実際にはその何倍も働いていることになるのだが…)。
なお、前述のように夫から妻への夫源病ならぬ、妻から夫への「妻源病」もある。せっかく人生のパートナーになったふたりなのに、「相手と一緒の空間にいたくない」 「ふたりきりの老後の生活が不安だ」なんて思ってしまうのはもったいない。
子育て世帯は特に、日々の慌ただしさや自分時間の確保の難しさから、「自分ばかりが大変」「自分ばかりが家族のためにいろんなものを背負っている」と思いがちだが、パートナーは本来、心強い味方でもあるはずだ。
しっかりとコミュニケーションを取り、自分の考えを伝え、相手の考えを知り、「自分ばっかり」という意識を持たなくてもよい状態にしたい。大変なことだってたくさんあるし、どちらか一方に負担が偏ることもあるかもしれないが、そのときは改めてフォローをする。お互いがお互いを尊重し、納得できる関係性を築いていけたらいいなと思う。
他人事ではない。私も夫に対し、妻源病の原因となるような言動をとっていないか、振り返ってみるつもりだ。
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