狙った相手を嫌な言葉や態度で傷つけるのが、モラルハラスメント(モラハラ)です。
モラハラはどんな人間関係でも起こる可能性があり、夫婦であっても同じく配偶者を傷つけることを平然とできる人はいます。
モラハラは、相手の自尊心と尊厳を傷つける、絶対に許してはならないもの。
モラハラ夫にはどんな特徴があるのか、またどう対処すればいいのかについてお伝えします。
モラハラ夫の特徴とは
モラハラは、距離感を失いやすい身近な人間関係でよく発生します。
相手の存在に慣れてしまい、平気で軽んじたり傷つけたり、そんな自分に違和感を持たないのがモラハラをする側の状態です。
愛し合って結婚したはずなのに、そんな妻を苦しめるモラハラ夫にはどんな特徴があるのでしょうか。
1.常に自分の気持ちが最優先
晩ごはんのメインが自分の好みじゃなかっただけで不機嫌になったり、出かける先はいつも自分が行きたいところだけだったり。
モラハラ夫は、常に自分の気持ちを最優先に通すことを押しつけます。
生活費を渡さず自分の趣味ばかりに使う、自分の都合のいいときだけ求めてくるなど、夫婦仲も自分の機嫌しだいだと思っている人も。
妻の気持ちをいっさい確認せず、自分の満足だけを考えるような状態は立派なモラハラと言えます。
2.こちらが反抗すると怒る
モラハラ夫は妻は自分に従うのが当たり前と思っているため、反抗することを許しません。
「疲れて帰ってきたのにこんなものを食わされるのか」と言って、妻が「でも、これしかなくて」と返せば、「誰に向かって言ってるんだ!」など声を荒げるのも平気です。
妻は常に自分の気持ちを満たすのが役割であり、妻個人の気持ちは考える必要がないと思っているため、少しの抵抗でも許さず痛めつけてきます。
暴言や暴力は、人の間にあってはならないモラハラです。
3.「自分はいいがお前は駄目」が当たり前
自分は高い服でも何も言わず買うのに、妻が新しいコスメを購入しようとすると「そんなものは必要ない」などと勝手に決めて許さないのも、モラハラ夫の特徴です。
自分は休日に自由に遊びに行くけれど、妻が同じように出かけようとすると「夫を置いて家を空けるなんて妻失格だ」など、「自分がするのはいいけれど妻は駄目」を当然に押しつけます。
妻を自分と対等な存在とは思っていないため、同じを嫌うのですね。
妻の自由を厳しく制限したり、反対に自分が好きに振る舞うことは認めさせようとするのは、立派なモラハラです。
4.第三者が介入するのを嫌がる
モラハラ夫はプライドが高く、自分のしていることを他人に責められるのを何より嫌います。
そのため、妻が自分について誰かに相談したり、第三者が介入したりすることを嫌がります。
妻が離婚を望んで弁護士に代理人を頼み、夫に交渉を持ちかけた際に「人の家庭に踏み込むな」「妻と話をさせろ」と弁護士との対話を避けるのはよくある話。
第三者の目から見て自分が異常だと思われることに、モラハラ夫は耐えられません。
これも、妻は自分の所有物であり自由な意思を持つことを許さないという支配欲から発展しています。
5.自分より立場が上の人間には弱い
モラハラ夫は、妻が自分より弱い立場で反抗できないと思い込んでいるからこそ、その自尊心を傷つけることが平気でできます。
一方で、自分より上の立場の人間には、今度は自分が反抗する勇気がないため、従順で大人しく、モラハラを受ける側になっても耐えるのもよくあることです。
肩書きの強さや役職の有無、権威などで人の価値を決め、上下でしか人間関係を見ることができないのが、モラハラ夫の特徴。
そのため、外では人当たりがよく家庭ではモラハラを全開にするなど、評価には2面性があることにも気をつけましょう。
モラハラ夫の餌食にならないためには
お互いに好きで結婚したはずなのに、夫が自分にモラハラをするなんて状態は、悲しいですよね。
愛情があれば、そんな夫を知っても「自分が悪いからいけないのだ」「いつかきっと夫も変わってくれる」などと我慢を選ぶことがありますが、それでモラハラ夫が変わる可能性はほとんどありません。
モラハラをする側は、その自分に疑問も違和感も持っておらず、変わる必要性など考えていないからです。
妻の痛みも忍耐も、「自分の配偶者なら当然」といつまでも当たり前にするため、一緒にいるほどに妻の側が壊れていきます。
忘れてはいけないのは、夫婦は対等であり、上下はないということです。
夫と等しく自分にも自尊心と尊厳があり、それを一方的に踏みにじられることを、許してはいけません。
モラハラ夫の餌食にならないためには、どうすればいいのでしょうか。
1.嫌なことは「やめて」と伝える
モラハラ夫への対処でまず大切なのは、「やめてほしい」と自分の意思をはっきりと伝えることです。
作ったご飯を一方的にけなされたり、欲しいものの購入を勝手に止められたり、それで傷つく自分について、伝えない限り夫は気がつかないのだと思いましょう。
モラハラ夫は妻の気持ちをいっさい考えないため、何か嫌なことをされたら「やめて」「言わないで」と拒絶でもって示すことは、正しい境界線を引くことになります。
2.暴言や暴力には耐えずに逃げる
妻が抵抗すれば、「誰のおかげで生活ができていると思っているんだ」など、暴言を吐くのもモラハラ夫にはよくあります。
腹いせのようにドアを大きな音を立てて閉めたり壁を殴ったり、威圧して妻を怯えさせることで、自分の言いなりにさせたいのですね。
こんな行為を放置すれば暴力を振るうことも当たり前になり、本当に心身ともに妻は危険な状態になります。
暴言や暴力は許さず、その場から逃げることを考えましょう。
自分の家族や信用できる友人、また市町村が用意しているシェルターなどがあれば、普段から相談しておくのも大切です。
3.相手の変化を期待しない
モラハラ夫からのいじめに晒され続けると、そんな扱いを受けることが当たり前になり、「私が悪いのだ」「夫もいつかわかってくれる」など、自分で変化を起こすことを諦めてしまいます。
ですが、モラハラをする側はその自分に問題があると思わない以上は、変わることはありません。
耐えていれば、モラハラは悪化する一方だと心得ましょう。
モラハラ夫に変化を期待するのではなく、自分が変わろうと決めることが、自尊心を取り戻す一歩です。
4.第三者に協力を頼む
夫との仲をどうにかしたいけれど、耳を傾けてくれない。また、離婚したいけれどまったく話し合いにならない。
そんなときは、思い切って外部の力に頼るのも自分のためと言えます。
モラハラ夫は妻を支配できる所有物と思っているため、妻の両親や代理人を依頼された弁護士などが登場すると、そこで自分が置かれた現実を知ることがあります。
自分だけではどうにもならないと思ったときは、それ以上無理をせず人の力を頼ることで、道が開けるケースは多々あります。
5.離婚は自分を守るための選択
モラハラ夫との関係をどうするか、「これ以上は無理」と感じたら、離婚の選択肢も考えましょう。
どれだけ好きであっても、自分をないがしろにできる人とは、愛情ある結婚生活は送れません。
何より大切なのは自分の心身であり、離婚は自分を守るための道です。
モラハラ夫は妻に離婚される自分など許せないためたいていは抵抗しますが、「この人に何をされてきたか」「自分はどうありたいのか」の意思は、妻個人で決めていいもの。
モラハラ夫に変化はなく、そして自分自身を大切にしたいと思ったら、潔く離婚して縁を切ることは誰にも責められる選択ではないのだと、忘れてはいけません。
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