社内恋愛は、相手との距離が近く一緒に過ごす時間が長いことがメリットの一方で、相手との関係がおかしくなったときにストレスを避けられないのが大変なときもあります。
告白されてOKしたけれど、交際が続くうちに「やっぱり無理」となったとき、その後のつながりを考えたら「別れ方」は本当に重要です。
自分の意思で距離を置けない場合に、相手との関係を悪化させずに終わるには、どうすればいいのでしょうか。
社内恋愛は「別れたあと」が大変
1日の大半を過ごす会社で知り合う人と恋愛関係になるのは、本当によくあること。
平日に毎日顔を見ることができて、会話もあればお互いを知っていくのが早く、好意が育つスピードも加速します。
思いが叶ってお付き合いに発展し、そのまま幸せな状態が続けば一番いいのですが、交際したからこそ合わないとわかり、別れを選ぶのも仕方ないですよね。
問題は別れたあとで、自分ではきちんと納得して終われたと思っていても、相手はそうでなければトラブルを起こされることもあり、仲がこじれてしまうと受けるストレスも大きなものに…。
業務に支障をきたしたり、ほかの人間関係に影響が出たり、距離が近いことがかえって未練を抱える側におかしな行動を促します。
それを防ぐには、「別れ方」を間違えないのが自分のため。
では、おかしな角を立てず、相手にも別れを正しく受け入れてもらうには、どう伝えるのがいいのでしょうか。
社内恋愛での別れは「嫌悪」を出さないのがコツ
同じ会社の人とお付き合いをしていて、「やっぱり無理」となり、別れた後でその相手との関係が悪化してしまう人のケースを見聞きしていると、別れ際に「嫌いになったから」「話しかけないでほしい」など、嫌悪を伝えていることが多い印象です。
好きだった人から「嫌い」と言われていい気分がする人はおらず、その悪感情を引きずってその後も社内で顔を合わせるため、怒りや恨みなどがなかなか消えないことが、おかしな行動を引き起こすのではと感じます。
たとえ本当に嫌いになったから別れたいのだとしても、ストレートにそれを伝えてしまうのは、相手と縁を切りづらい社内恋愛では控えるのがベター。
別れた後の理想の状態は、お互いに関心を向け合わず仕事に影響を及ぼさず、他人として自立した状況をそれぞれが得ることではないでしょうか。
嫌悪や否定は相手の未練と執着を招きやすく、それよりも「お互いの道を大切にしようね」と存在をそのままで置いておける強さが、社内恋愛での別れでは大切と感じます。
相手との仲をこじらせない別れ方とは、具体的にどんな方法があるのでしょうか。
門を立てない「別れ方」とは
1.「合わない」ことを伝える
どうして相手と別れたくなったのか、理由はさまざまですが、「こんなところが嫌い」とはっきり言ってしまうと相手は傷つきます。
また、「じゃあそこを直すから」と引き止められる可能性もあり、相手の悪いところを別れる理由に使うのは避けるのが賢明。
それよりも、「こういうところが合わなくて」と自分が歩み寄れないことを前に出すと、相手は自分のせいで別れを選ばれたのではないと思います。
そこで「努力してくれないのか」などと責められる可能性はありますが、潔く「ごめんなさい」と言えば、それ以上は追っても無駄だとわかります。
相性は実際に付き合ってみないとわからない点もあるので、「嫌いになったのではなく、単純に合わないから」と知ってもらうのは、否定や拒絶ではなく無理をしない自分を伝えることでもあります。
2.「社内恋愛は難しい」と自分の事情を理由にする
同じ会社に恋人がいる社内恋愛は、仕事とプライベートをしっかりと分ける意識が悪い影響を避けるには不可欠であり、ここの踏ん張りが足りないと業務やほかの人間関係まで巻き込んでしまいます。
その事情を話したうえで、「自分には難しい」と社内恋愛の形を理由に関係から降りることを伝えるのも、社会人の姿勢として十分にあり得ること。
この場合、「じゃあこっちが会社を辞めるから」などと相手が極端な提案をする可能性がありますが、「そこまでされても責任を持てない」と、受け入れないことをきっぱりと示すことが大切です。
また、この理由を使うとその後ほかに社内で好きな人ができて交際に発展した場合に、元恋人に「嘘をつかれた」と思われる可能性もあるため、そこまで想像して大丈夫かどうかを考えましょう。
3.「今は仕事に打ち込みたい」より「勉強したいことがある」
別れる理由に「恋愛より今は仕事を優先したい」ことを伝えるときは、同じ社内なら相手がそれを確認できる可能性について、忘れてはいけません。
そう言って自分と別れたのに実際は打ち込んでいる姿が見当たらなかったとき、相手は「本当は自分を嫌いになったのでは」と疑心暗鬼になることがあります。
本当に仕事を優先したい場合以外は、「勉強したいことがあって」「取りたい資格があって」など、相手が確認できないことを持ち出すのが正解です。
同じような言い方で「家族の介護が大変で」など家庭の事情を使う人がいますが、これも実態について相手が探ることが可能なときは、使わないのがベター。
自分の事情を前に出して別れるときは、なるべく相手が触れられないものを考えましょう。
4.「ほかに好きな人ができた」は社外の人だと伝える
相手が追ってくることが難しい別れの理由に、「ほかに好きな人ができた」があります。
言い方は悪いですが一番無難な理由であり、これを言われたら諦めざるを得ないと思う人が多いのも現実です。
一方で、社内恋愛の場合は別れた後で「それは誰か」を突き止めたがる人もいて、「社外の人だから」とはっきりと伝えておくことが肝心。
自分の知らない人なら、たしかめようがないですよね。
相手によっては「どんな人か」を執拗に聞いてくることがありますが、そんな質問にはいっさい答えず、もうお付き合いはできないということを知ってもらいましょう。
5.最後は「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える
どんな理由があれ、そしてたとえ相手に嫌な感情を持って別れを決めたとしても、最後は「いままでありがとう」と感謝の気持ちを口にすると、その姿が相手のなかにいい印象として残ります。
これからも同じ会社のなかで顔を合わせていく存在として、否定しないことを伝えるのが、その後をこじらせない秘訣。
「ありがとう」は、どんな関係であっても相手を肯定する大切な言葉です。
交際は終わるけれど感謝しているとわかれば、相手は嫌な感情は向けづらいもの。
感謝でもって別れることを、「相手に復縁を期待をさせるのでは」と考える人もいますが、そこまで邪推するのはかえって相手とのその後の関係を悪くすると筆者は考えます。
あるかどうか不明の復縁の期待を恐れるより、交際の機会に感謝している自分をしっかりと見せるほうが、次からもスムーズにコミュニケーションを取る気持ちを作るのではないでしょうか。
ストレスのない状況は自分で作っていく意識を
社内恋愛は、うまくいっているうちはいいけれど、何かあって仲がこじれたり別れたりしても相手とのつながりを切りづらいのが、大きなデメリットでもあります。
恋愛はプライベートなことであり、それを仕事に持ち込まないのが社会人としての正しい自覚です。
肝心なのは、相手がどうであれ自分は堂々と胸を張れる状態でいること。
相手の態度に振り回されないためには、別れ際での振る舞いこそその自信を作ります。
会社は仕事をするべき場所であることを忘れず、ストレスのないきょうは自分で作っていく意識を持っていたいですね。
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