欧米に比べて性教育が遅れている日本
日本では性教育が欧米に比べて遅れに遅れているので、自分の心と身体を大切にすることを唱える一方で「じゃあ、実際に性行為についてはどう伝えるのか?避妊については?」となると、急にトーンダウンしてしまいがち。
「性行為=悪いこと」というイメージもまだまだありますよね。私たちが生まれてくることを喜びとする一方で、性行為自体はあまりいいイメージではないという矛盾が日本にはあったりします。
思春期の子どもが性について興味を持つことは人として自然のことですので、ここは大人として正しい知識と、自分が性に対してどう思うかというひとつの基準を伝えていきましょう。「私は○○だと思うな」といった、押しつけないような伝えかたがベストです。
性行為の仕組み自体は、医学的な伝えかたをしてもいいでしょう。一番のハードルは「何歳になったらしていいの?」という部分です。ここを明確に答えられるかたは少ないのではないでしょうか。
20歳になってからという方もいるでしょうし、高校生くらいから、大学生になってからなど、ご家庭によって考えかたはさまざまだと思います。
と、大人側の理想はたくさんあるのですが、当の思春期の子どもたちはというと、性行為の際に親の許可を取りになんてこないのですね。むしろ、逐一許可を取りにくるほうが、不自然だと思います。
「◯歳になったらしていい」より、大切なこと
なので、身体の仕組み、性行為のしくみを伝えた後は、親御さんの考えや自身の経験を話し「性行為は命を育むものであるから、それがどういうものかを考えて、するかどうかの最終的な判断は自分でする」「避妊方法や感染症などのリスクもしっかりと考えていく」と、誤った決断を子どもがしないように、正しい知識を伝えていくことが大切です。
また、避妊を失敗した際の対処法としてアフターピルについての話や、アフターピルがオンラインで処方してもらえるようになったという最新の情報も知っておきましょう。感染症については、ピルでは感染症は防げないなどの知識を伝えることも忘れずに。
身体へのリスクは女子のほうが高いので、女子には「泣き寝入りしないよう相手にもきちんと寄り添ってもらうこと」を、男子の場合は「必ずお互い合意のうえでの性行為であること。避妊は必ずすること」「相手の気持ちにも寄り添うこと。悩んでいることにも寄り添うこと」を伝えていきましょうね。
今回は、高校生、大学生メインのお話ですが、表現をやわらげれば中学生でも伝えることが可能な内容です。性教育は1回で終わらせることが難しいので、都度、小出しで教えていくことが思春期へのコツ。この時期は、親と性についてガッツリ話すほうが珍しいですからね。
なので「短い言葉で、サラッと普通に」話していきましょう。大人が照れたり、嫌そうだったりすると、子どもも「性ってそういうものか、やっぱりな」と思ってしまい、学ぶ門戸を閉ざしてしまいますので注意してくださいね。