「被害妄想や思い込みが酷くなった母」との向き合い方
母の「物とられ妄想」や「事実と違った思い込み」に疲れてしまった私は、ついつい母の言動を否定するような言い方をしていました。
正しい情報を母に理解してほしいと思い、何度も説明を繰り返しましたが、母は納得せず、ときには喧嘩に発展することも。
私は、母とどのように接したらよいのか悩んだあげく、ケアマネージャーに相談することにしました。そして、次のようなアドバイスをいただいたのです。
1.否定しない
事実とは異なる被害妄想に対して、まずは否定せずに本人の話をしっかりと聞くことが重要。
本人の訴えを否定することで、訴えている本人は感情を制御することができなくなり、さらに混乱する可能性があるからです。
また否定することにより、「この人は自分のことを理解してくれない」という気持ちをいだくことにつながります。
事実ではないことで、いいがかりをつけられたりすると納得できなかったり、ついつい正したくなる気持ちが出てくるかと思います。しかし、認知症の方にとって妄想は、実際に起きていることのように感じているのです。
そのため、被害妄想が現れた場合は、否定せず本人の話を聞くことを意識してください。
2.話を共感しながら聞く
妄想だと明らかにわかる訴えでも、まずは共感しながら話を聞くことが大切です。
訴えに対して共感することで、認知症のかたは安心感を感じることができます。
被害妄想の多くは、認知症の症状による不安感や孤独感、不安定な心情などが原因となっていることが多いので、まずは共感することで、安心感を感じてもらうことが大切です。
共感して話を聞くことで、症状が改善へ進むこともあるようですよ。
3.自信を持ってもらう
被害妄想は認知症の進行で、できないことが増え、自尊心が傷つけられた場合にも起こります。
役割を与えて、認知症のかたが活躍できる場をつくることや本人の得意なことを活かしてレクチャーをする場を与えることが、自信を取り戻すきっかけになります。
そして、自尊心を取り戻してあげることで、被害妄想が落ち着く場合もあるのです。
私は、ケアマネージャーさんのアドバイスを参考に、母の訴えを否定せず、共感しながら話を聞くことにしました。
母の「物とられ妄想」に関しては、なくなったものを一緒に探して、私が先に見つけた場合でも本人に見つけさせるように誘導。その結果、母は、自分で見つけられたという安心感が得られたように感じました。
対人関係の被害妄想に関しては、母の訴えが間違っていても否定したい気持ちをグッとこらえて、母の言い分を聞くようにしました。
その結果、被害妄想はまだ完全には改善されていませんが、以前より感情的に訴えることは少なくなったような気がします。
認知症が進行すると理不尽な言動を聞くことが多くなり、言い返したくなることもありますが、「母は病気なんだ!この理不尽も病気によるものだ!」と自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着かせることも必要なのです。