物を頻繁になくす母にイラつく私、どう向き合うべきか?
毎日のように探し物をして、「どこへしまったっけ?知らない?」。しまいには、私がどこかにしまったのではないかと疑う母。そんな母に私はイライラすることが多くなりました。
「どこにしまったか、覚えてないの?思い出してみて!ちゃんとしまわないからだよ!」とついつい声を荒げてしまうことも。しかし考えてみれば、「自分も同じようなことをたまにするな…」と思い直し、気持ちを落ち着かせるのです。
認知症の母に「どこにしまったの?」と問いただしても、自分の行動を覚えてないのだから意味がありません。
探しものをするときは、自分がしまいそうな場所をいろいろと考えて探しますよね。そのとき、自分の行動を思い出し、足跡をたどりながら探そうとします。「どこか、違う場所にしまってきたのではないか?」となんとかして思い出そうとしますが、認知症の方はある決まった場所にしか注意が向きません。
母の場合は、鞄でした。鞄の中身をすべて出しては、「おかしいなぁ、見つからない…どこにしまったのだろう」といい、ほかの場所を探そうとしませんでした。
私も一緒になって探すのですが、鞄のなかからは見つからないこともあります。
母がよく探し回っている物は、携帯電話と充電器。母は、以前から携帯電話は鞄のなか、充電器はポーチのなかにしまうと決めています。
携帯電話は電話をかけて鳴らせば場所が特定できますが、充電器は見つからないことが多いです。たまに洋服のポケット、枕の下などいつもと違う場所から見つかることもあります。
では、焦って探し物をする母にどのように対応すればよいのか?自分が探し物をしている気持ちになって考えてみることにしました。
自分が大切なものを探しているときは、大抵焦っていることが多く、なかなか見つけられなくてパニックになることもありますよね。認知症の方も同じ気持ちなのです。
まずは、「イライラせずに母の気持ちを和らげるような言葉をかける」「物忘れを責めたり、思い出すように急かしたりしない」を心掛けました。
「少し落ち着いて探してみよう」と声をかけたり、一緒に探して自分が見つけたときは、恩着せがましい態度はとらずにさりげなく「はい。あったよ」と渡す。
そうはいっても、毎日同じものをどこにしまったかわからないとなると一緒に探す家族もウンザリしますよね。私も仕事に子育てにと余裕がない時があり、母の探し物に付き合えないときもあります。
そこで、母がしまった場所を頻繁に忘れる物は自分が預かることにし、どうしても見つからないときのために予備も用意。携帯電話を預かることはできませんが「充電器なら…」と思い、母に「充電器は私が預かっておくね。携帯電話の充電がなくなったら教えて」と伝えました。
もちろん、母は私が預かっていることを忘れてしまいますが、そのときは繰り返し「充電器は私が預かっているよ」と伝えることにしました。
たまに母からは「あなたが、取り上げていたのね!」と言われることもありますが、「お母さんがよくなくすから私に預けると言ったんだよ」と言います。
すると、母は自分が言ったことを忘れているので、「そうだったっけ」とあっさりと聞き入れてくれるときがあるのです。
また、探し物の負担をなくす対策として『紛失防止タグ』を使うのもおすすめです。最近はBluetoothやGPS機能を使って、紛失物を見つけられる『スマートタグ』が販売されています。よくなくす物に『スマートタグ』をつけておくと苦労せずに見つけることができます。
大切なのは「本人のペースに合わせること」
認知症が進行すると思考力や動作力などが低下し、一度に処理できる仕事量が減ってしまいます。その結果、何をするにも時間がかかってしまいます。
探し物をするにも思い出せないし、探すのにも時間がかかります。しかし、何もできないわけではないので、イライラしたり、急かすようなことはぜずに本人のペースに合わせることが大切なのです。
そうはわかっていても、介護する側もいつも穏やかな気持ちを保つことは難しいですよね。私も余裕がないときは、母にイライラしてしてしまうこともあります。
そんなときは、少しでもリフレッシュできる時間を確保できると気持ちが落ち着きます。なかなか時間を確保するのは難しいかもしれませんが、介護サービスなどを利用してリフレッシュする時間をとることをおすすめします。
介護生活を送るうえで介護から少し離れる時間を作ることも大切なことではないかと私は感じています。
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