無理に免許返納をさせると起きるかもしれない2つの悪影響
高齢者ドライバーによる交通事故が増加しているなか、親世代は「自分はまだ大丈夫だから運転免許を返納する必要がない」と思っている人が意外と多いようです。
また、高齢になるほど、自分の運転を客観視することが難しくなってきます。
危ない運転をしていると自覚のない人に無理に運転免許を返納させようとすると拒否反応をしめし、なかなか思うように進みません。
また、本人が納得しないまま免許返納を強制すると次のような悪影響を及ぼすことが考えられるので注意が必要です。
引きこもりがちになりうつ病や認知症が進行する
普段運転している方は感じているかもしれませんが、運転は意外と頭を使う行為。
「見て、判断して、操作する」という行動をするため、運転をすることで脳をフル回転させています。
したがって、急に運転をやめてしまうと、脳の機能を一気に低下させてしまうリスクもあるのです。(参考:高齢者安全運転診断サービス)
さらに運転をやめることによって、行動範囲が狭まり、人とのつながりが途絶えてしまうと知らないうちにうつ病や認知症を進行させてしまう場合もあります。
運転をしていたときは活発だったのに免許返納後は、家に閉じこもりがちになり、意欲が低下しまったという話を聞くこともあります。
したがって、やみくもに免許返納だけを強制するのではなく、免許返納後も人と交流をもてるような地域のコミュニティーを見つけてあげるなど生活に配慮する必要があります。
生活の足がなくなり、影響を及ぼす
高齢ドライバーが免許返納をためらう理由として一番多いのは、「車がないと生活ができない」ということ。返納したくても返納できないと思っている人が多いのです。
また、最近では、地方の公共交通機関の運転手不足が問題になっています。
ただでさえ、公共交通機関の便が悪いのに、運転手不足でさらに悪化。そのような状況で運転免許を返納してしまったら、生活が成り立ちません。
運転免許返納後の生活をサポートできる家族が近くに住んでいれば、なんとか解決できるかもしれません。
しかし、家族が遠方に住んでいる場合は、ご両親の免許返納後の生活をどう支えていくのかを考える必要があります。
社会的にも、田舎暮らしの高齢者の免許返納後の移動手段をどうするのかが課題になりつつあります。しかし、家族だけではサポートしきれないこともたくさんありますよね。
高齢者ドライバーの免許返納を呼びかけるだけではなく、高齢者が自ら運転しなくても生活に困ることがないような対策を社会全体で考えていく必要があるのではないでしょうか。