子育ては、親に不思議な力を与えてくれる

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しかしながら、仕事に7割の時間とエネルギーを割きたいのに、子育てなどできるかと不安に思われるかもしれません。
ところが、私の経験では、不思議なことが起こりました。
子育てによってスイッチが入って、別のエンジンが動き出したのです。
どんなに疲れていても、休日は子供となら出かけてへとへとになっても大丈夫でしたし、平日は一緒にアニメを観て楽しんだりもしたのです。
先日、教え子と話をしていたら10時間も睡眠をとっていても寝坊すると聴いて驚きましたが、当時の私は4時間半睡眠の毎日でも不思議と頑張れたのです(還暦を過ぎた今は健康のため6時間寝ようと心がけていますが)。
それだけではありません。
今だから話せますが、私が経営していた久米繊維は多額な債務を抱えた構造不況業種でしたので、何度も倒産の危機がありました。
そこでへこたれそうになったときに、なぜか、もう授からないと思っていた子宝に恵まれ、30代の中後半で2人の息子の父親となりました。
普通なら、なんでこんな危機的な状況で子供が生まれるんだと思うところですが、不思議なことに、子供の顔を見ていると「ここで負けてたまるか」とガッツが湧いてきたのです。
また、私が元来苦手で面倒だと感じていたIT化や地球環境問題への取り組みなどで、志を曲げそうになったときも、ここで禍根を残せば将来子供たちに笑われてしまうと、新しい挑戦を続ける気持ちになれたのです。
それでも世界は少しずつよくなっていると信じる
私が生まれた1963年は、今考えれば大変なときでした。
高度成長期の総仕上げで東京オリンピックに向けて沸きに沸いたときに生まれたのですが、すぐに昭和40年不況に突入するのです。
そして私が8歳の1971年にはドルショック、10歳の1973年には第一次オイルショック、15歳の1978年に第二次オイルショックに見舞われ、日本経済は四たびもどん底に突き落とされたのです。
年端のいかない私が知らないところで、両親はきっと言葉にできない苦労を重ねたことでしょう。
私は私で、光化学スモッグや川崎ぜんそくの公害リスクにさらされ、水俣病、イタイイタイ病のニュースやゴジラ対ヘドラを見て怯える子供でした。
小学校のころから、地球温暖化などの地球環境問題から、第三次世界大戦で核戦争が起こることを恐怖し、人類滅亡を予感して不眠症になったほどです。
高校生になっても、ノストラダムスの大予言を半ば信じていたぐらい、ほぼ鬱状態で二度の不眠症を経験する暗黒の十代を過ごしていたのです。
しかし、そんな私がおかげさまで還暦を過ぎるまで生き永らえて、修羅場続きでジェットコースターに乗っているような人生(今も続いていますが)ながらも、自分なりに大変楽しく、ますます幸せだと感謝するまでになったのですから不思議ですね。
ご参考までに、投げやりだった大学生時代に、私を鬱から救ってくれた恩師、平野絢子教授の言葉もご紹介いたしましょう。
大学3年生のときに「人類は滅びると思いますか?」と私が愚門を発したときに、平野先生はこんな回答をしてくれました。
「人類が愚かなら、まだ中世は終わっていない。」
この言葉が私の支えになり、日々、国際報道で目を覆う惨事や愚行を見ても、私は心は壊れないのです。
もう一つ心が壊れないコツは、歴史を冷静に振り返ることです。
例えば、私が生まれた1963年には、キング牧師が暗殺されたのです。
当時は自由の国とされる米国でさえ、どれほど人種差別がひどい状況だったか想像に難くありません。
しかし、その後、オバマ大統領が誕生するまでに進化したのです。
また、私が就職する直前の1985年にようやく日本でも男女雇用機会均等法ができたのですから、ついこの間まで日本もひどい国だったわけです。
もちろん週休二日制などありませんでした。
しかし、今では、女性活躍社会を目指して担当大臣の席が設けられるまでになったのです。
おそらく、これから生まれる子が就職し活躍するころには、男女平等はもちろん、AIやロボットの力を借りて週休3日あるいは4日になり、ベーシックインカムまで導入されているかもしれません。
仕事以外にも趣味や社会貢献活動で自己実現できるようになっているでしょう。
趣味を追求するにも、起業するにも、AIとインターネットとロボットの力を借りて、一人で好きなことが存分にできる道も用意されるでしょう。
もちろん、都市一極集中と通勤地獄、ローン地獄もなくなっているはずです。
ですから、私も息子たちに、これからの時代に社会で活躍できるのは羨ましいといつも話しているのです。
最後に、私が暗黒の10代に好きだったプロレスラー!アントニオ猪木さんの引退試合の名言を借りるといたしましょう。
「迷わず行けよ 行けばわかるさ」
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