累計25万部超の「すぐやる技術」シリーズの著者である久米信行さんの元に届いたのは、仕事・結婚・子育ての「ワークライフバランス」に悩む30代女性からのお悩み相談。
やりがいのある仕事や大切な人との結婚、そして子育て。
これからの人生において不安ばかりが募る中、どのような行動を起こすべきなのでしょうか。
今回は、ご自身のメルマガ『久米信行(裏)ゼミ「大人の学び道楽」』にて回答している、久米さんの教えをご紹介します。
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Q. 30代女子の仕事・結婚・子育てワークライフバランス
ありがたいことに、就職先が自分に向いていたのか、仕事がどんどん面白くなり、やりがいを感じながら熱中して働いているうちに30代になりました。
しかし、まわりを見ると、結婚や子育てをしている友人も増えてきて少し焦っています。
結婚したい相手はいるのですが、子育てまで考えると、これまでのキャリアや面白い仕事を失いそうで怖いのです。
私としては仕事7割、家庭3割ぐらいのワークライフバランスで生きていきたいのですが、それが職場でも家庭でも許されるのかも心配しております。
それに、昨今の国際情勢や日本の現況などを見ておりますと、果たして子供たちは、これから生まれてきて幸せになれるのかどうかも不安です。
どうやってこれから私の理想の人生を歩んでいけばよいでしょうか?
(30代 女性 東京)
A. 有能な女性が求められ、働き方改革と育児応援の仕組みが充実してきた今は絶好のチャンス。子供にとっても、私が生まれた60年前よりも世界は進化して幸せになれるはず。
お悩みの前提が「仕事が面白くてやりがいがある」ということですから、まずこれは幸せなことですね。
人並以上の志と才能を持ち、同時に職場に恵まれていることと思います。
このことだけで、親しい友人たちとわざわざ比較する必要などない、独自の幸福な人生だと思います。
とはいえ、これまで日本は女性にとっては働きづらく、仕事と家庭を両立しづらい社会でした。
依然として女性蔑視が一部に残っていることもあるでしょう。
しかし、今こそ理想のワークライフバランスを実現するチャンスだと私は考えます。
有能な女性を重用したい企業や経営者が増えている

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これまで20年間近く、明治大学商学部でベンチャービジネス論を展開してきましたが、受講生の変化は明らかです。
少なくとも、私の講義を受ける学生を見れば、女子学生のかたが大きな夢と強い社会貢献意識を抱いている場合が多く、しかも勉強熱心で優秀です。
こうした女性の意識と学力向上については、親しい大学の先生や経営者仲間と話をしていても、ほぼ同意見です。
わかりやすい表現を使うならば、男子学生が草食系の農耕民族に、女子学生が肉食系の狩猟民族になりつつあるという感想でしょうか。
ところが、旧来型の日本の大企業では、表向きは男女平等でも、実際には、まだまだ女性が活躍する道が狭き門とされる場合も多いようです。
そこで、ちょうど30代を迎えたころに、優秀な女性ほど、再度、大学院や海外留学で学ぶことや、外資系やベンチャーへの転職を考えることが少なくないようです。
親しい中小企業経営者の中には、こうした人生の転機を考えている優秀な女性を、第二新卒として迎えて活躍してもらっているケースも多いようです。
ですから、30代の女性で自分の未来について悩まれているのはご自身だけではないと、まずはお考えください。
そして、そんな優秀な女性に開かれている門戸が多いことを知っていただければ、選択肢が広がることをご理解いただけて安心できると思います。
望む働き方で望む仕事ができる職場も増えている
著名な大企業で活躍していた女性が、なぜ中小企業に転職するのか、私も当初は不思議に思いました。
知名度はもちろんのこと、給与や福利厚生などの処遇では、中小企業は大企業にとても太刀打ちできないからです。
しかし、成功している経営者仲間と話すと、今回いただいた悩みを、中小企業ならではの優遇措置で解決することで、転職した女性幹部社員に喜んで働いていただいているケースも多いようです。
なにより、やりたい仕事、重要な仕事を、社長直轄のシンプルで意思決定の早い組織で、大きな個人裁量を委ねられて任せてもらえることが喜んでいただけるとのこと。
そういえば、私も大企業で働いていたときは、まるで大きな機械の歯車の一つになったかのようで悩みました。
よいアイディアがあっても、部署間の対立や、部課長の保身などで、ことごとく潰されたり無視されたりしたのです。
しかし、三顧の礼で社長に迎えられ、しかも社内の事業部門のひとつを長として任されるような働き方でしたら、まるでオーナー社長のように自由に仕事ができるはずです。
もう一つの優遇措置は、働く時間と場所に融通が利くことです。
お悩みである将来の子育てはもちろん、場合によっては介護の課題も発生するかもしれません。
あるいは、仕事と同じぐらい本気で取り組みたい趣味やNPO活動との両立を考えられている人もいるでしょう。
しかし、こうした場合でも、自己管理ができてきちんと成果さえ出してくれるなら、いつどこで仕事をしても、先見性のある経営者なら許してくれるはずです。
すでに、コロナ禍の在宅テレワークで、それが夢ではないことは立証されています。
まずはお勤めの会社の経営者に真剣な相談を
ご相談の様子では、すでに経営者や社内の信任が厚く、お仕事を任され、だからこそ仕事7割で自己実現したいとお考えなのでしょう。
だとしたら、いくら売り手市場だからといって、安易に転職を考えるのは危険です。
処遇こそよく見えても、転職先の経営者や上司が魅力的で、快適な職場であるとの確証はないからです。
そこで私なら、真っ先に経営者に本音で相談をするでしょう。
結婚しても子供が生まれても、仕事7割で働きたいので、働き方を一緒に考えてほしいと訴えるのです。
そんな真摯で優秀な女性社員を、まともな経営者なら放っておくわけがありません。
どんな働き方をすれば一番パフォーマンスと幸福度が上がるかをきっと一緒に考えてくれることでしょう。
万が一、こうした相談に乗ってくれない経営者だとわかった後で初めて転職を考えればよいでしょう。