我が子の高校進学について、夫婦で話し合ったことはありますか?
子どもが本当に行きたい学校があっても、「うちの家計では無理かもしれない」と、可能性を狭めてしまった経験。あるいは、教育の質を重視したいけれど、経済的な理由で諦めざるを得なかった葛藤。
進学という人生の岐路で、お金の問題が大きな壁となることは、決して珍しくありません。
しかし今、その壁が少しずつ低くなろうとしています。2026年度から、高校授業料無償化の拡充や所得制限の撤廃が進むことをご存じでしょうか?
そこで今回は、小・中学生の子どもを持つ保護者を対象に実施された調査から、制度の認知状況と、保護者の進学意識の変化について詳しく見ていきましょう。
意外と知られていない「高校授業料無償化」
調査でまず明らかになったのは、高校授業料無償化についての認知度の低さです。「詳細は知らない」と回答した保護者は、なんと74.4%に達しました。
日本各地で制度改正が着々と進んでいるにもかかわらず、当事者である保護者への情報浸透が依然として不十分であることがわかります。制度の内容が複雑であることも、この数字の背景にあるのかもしれません。
「高校の授業料が無償化される」という言葉だけは耳にしていても、「具体的にどの学校が対象なのか」「自分の家庭は該当するのか」「いつから適用されるのか」といった詳細を把握している保護者は、わずか4人に1人程度なのです。
情報が届いていないまま進路選択の時期を迎えてしまうと、本来選べたはずの選択肢を見逃してしまう可能性があります。
知らないことで損をしてしまう。そんな状況が、多くの家庭で起きているのではないでしょうか。
「学費の壁」が選択を左右する現実
では、保護者は子どもの進学先として、どのような学校を望んでいるのでしょうか。
調査によると、子どもの進学先として最も行かせたい学校種別は「国公立高校」で66.9%でした。約7割の保護者が、公立高校を第一志望としていることになります。
この背景には、明確な理由があります。私立高校を選ばない理由の第1位は「国公立に比べて学費がかかるから」で、75.9%にのぼりました。
つまり、多くの保護者にとって、進路選択の最大の決め手は「教育内容の充実度」や「子どもの適性」ではなく、「家計への負担」なのかもしれません。
本当は私立の専門的なカリキュラムや手厚いサポートに魅力を感じていても、経済的な理由で選択肢から外さざるを得ない。
そんなジレンマを抱える家庭が、数多く存在していることがわかります。
正しい情報で意識が変化。国公立志望者の45.5%が「私立も選択肢に」
しかし、状況は大きく変わる可能性があります。
当初「国公立高校」を志望していた保護者に対し、高校授業料無償化の具体的な説明を行ったところ、なんと45.5%が「私立高校も選択肢に入れたい」と意識を変化させました。
そしてこの数字は、非常に重要な意味を持っています。正確な情報提供が、保護者の心理的・経済的ハードルを下げ、進路選択の幅を広げることが明確に示されたのです。
「授業料が無償化されるなら、私立も視野に入れられる」「お金の心配が減るなら、子どもに合った学校を選んであげたい」。制度の詳細を知ることで、こうした前向きな変化が生まれています。
情報を得る前と得た後で、これほど大きく意識が変わる。このことは、適切な情報提供がいかに大切かを物語っています。
私立高校を検討する理由は?
では、私立高校が選択肢に入った保護者は、どのような点に魅力を感じているのでしょうか。
私立高校が選択肢に入った理由を尋ねたところ、最も多かったのは「授業料負担が軽くなるから」で83.4%でした。やはり経済的な負担軽減が、最大の理由となっています。
注目すべきは、それに続く回答。「学習・教育内容が適しているから」が58.0%、「進学実績を重視したいから」が37.6%という結果になりました。
この数字から見えてくるのは、保護者が単に「安くなるから私立でもいい」と考えているわけではないということです。
むしろ、「経済的な壁がなくなるなら、私立特有の手厚い教育環境を享受したい」という積極的なニーズが顕在化しているのです。
きめ細かな指導、充実した進学サポート、専門性の高いカリキュラム。こうした私立高校ならではの強みに、多くの保護者が価値を見出しています。
授業料の負担が軽減されることで、ようやくその価値を選択できるようになった。そんな期待感が、この数字に表れているのではないでしょうか。
授業料無償化でもお金がかかる私立高校
一方で、制度説明を受けても私立高校を志望先に入れない保護者も存在します。
その理由として最も多かったのは、「授業料以外の費用(入学金・施設費等)がかかるから」で68.6%でした。
授業料は無償化されても、入学金、修学旅行費、施設整備費、制服代、部活動費といった諸費用は、依然として家庭の負担となります。
これらの費用への不安が、私立高校進学への最終的な懸念点となっているのです。
「授業料は無料になっても、結局トータルでは高くつくのではないか」「入学時にまとまったお金が必要になるのは変わらないのではないか」。こうした現実的な心配が、一歩を踏み出すことをためらわせているのでしょう。
制度の恩恵を十分に受けるためには、授業料以外の費用についても、より詳細な情報提供や支援策の検討が必要だといえます。
期待と不安が交錯する保護者のリアルな声

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調査では、自由回答形式で制度拡充に対する保護者の生の声も集められました。
期待の声としては、「子どもが二人いるので、トータルで負担する額がけっこう変わってくると思うので嬉しい」「やりたいことができる環境が私立にしかない場合は勿論私立を検討するので助かる」「スポーツ推薦で私立高校に行くので、無償化制度はとてもありがたい。選択肢が広がると思います」といった声が寄せられています。
複数の子どもを持つ家庭にとっては、経済的負担が大幅に軽減されることへの安堵感が伝わってきます。また、子どもの夢や適性を最優先に考えられる環境が整うことへの喜びあるようです。
一方で、不安の声も少なくないのが現実です。
「高校授業料を無償化にする代わりに、設備費などをアップする可能性が出てくるのでは」「勉強する気がないのに進学する人間が増えて、結果的に高校全体のレベルが低下しないか心配」「受験のハードルが下がることで、倍率が高くなると思う」といった懸念が挙げられています。
制度の抜け穴を懸念する声、教育環境の質的低下を心配する声、そして入試競争の激化を予測する声。期待と不安が入り混じる、保護者の複雑な心情が浮き彫りになっています。
まとめ
今回の調査から、高校授業料無償化についての理解が深まることで、保護者の進路選択が大きく変化する可能性が明らかになりました。
あなたのお子さんは、今、どんな高校生活を思い描いているでしょうか。
その夢を実現するために、まずは正しい情報を知ることから始めてみませんか。選択肢が広がることで、お子さんの未来も、きっと広がるはずです。


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