こんにちは、五十嵐由家です。
鑑定サロンにいらしたそのご婦人は、ふんわり、というより、ぽやぁ~っとした印象の方。
高校3年生の長女さんが、進学するでもなく、就職するでもなく、な~んにも進路を決められずにいるのだそう(……なるほど。お母様と同じように、ぽやぁ~っとしてるのね)。
母親:「決められないのなら、とりあえず大学へ行ったら?」
娘:「勉強したいわけじゃないのに、とりあえずで進学なんてできない」
母親:「じゃあ、就職してちょうだい。どんな仕事でもいいから」
娘:「どんな仕事をしたいのかも決まってないのに、就職なんてできない」
母親:「だから! 決まっていないんだから、『とりあえず』って言ってるでしょ!」
……この無限ループなんだって。
お嬢さんはきっと、「何が好きで、何がやりたいのか判らない。判らないまま『とりあえず』で進みたくない」と思っているのでしょう。
真面目なのか……はたまた、やる気がないだけなのか……。
娘の有り様は、母の姿

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まぁね、世の中ってやつは、いつでも白黒ハッキリつけられるものばかりじゃなくて、「とりあえず」の積み重ねで道ができていくこともあるって、大人は経験で知っているんですけどねぇ。
さぁ…どうしたものかな。こういう場合、ご両親に問題があるパターンがほとんど。
占い師:「で、お父様は、この件についてどのようにおっしゃっていますか?」
母親:「父親は、何も言いません」
占い師:「は?……ど・う・い・う・ことですか?」
聞けば、娘さんが小学校2年生のときに離婚して、養育費は支払い続けてくれているものの、交流は一切ないとのこと。
ピーンと来ちゃったわ。ははん。原因は、ここね。
母親からは、感性・感覚・情緒といった「心」を学び、父親からは、社会性・仕事・合理性といった「現実を生きる力」を学びます。
高校3年生という、いよいよ社会への一歩を踏み出すときに立ちすくんでしまうのは、父親との関わりの中で育まれるはずの「社会という大地に立つための根っこ」が、グラグラだからです。
離婚時の様子を伺うと、これがまた……。お子さんに何の説明もなく離婚し、ある日突然、お父さんが家からいなくなった。養育費が父親から送金されていることすら伝えていない。
いやいや、これはあまりにひどいわ。離婚したことが悪いんじゃないの。
家族の一大事なのに、何の説明もなく、いきなり父親という存在を彼女の世界から消し去った、ご両親のやり方がマズいんです。
親同士は元は他人でも、彼女にとっては、半分がお父さん、半分がお母さん。
その片割れが、何の説明もなく、いきなり欠落してしまった状態で、多感な18歳まで育ってしまった。
まだ言葉も理解できない赤ちゃんならともかく、小学2年生ですよ。
理解できるできないに関わらず、何が起きていて、これからどうなるのかを説明してあげるのが、親ってもんでしょう!
家族によくない変化が起きると、子どもは無意識に「自分のせいでこうなったんだ」と思い込みます。
だからこそ、「離婚はあなたのせいじゃない。お父さんもお母さんも、心からあなたのことを愛しているよ」と、はっきり言葉で伝えてあげる必要があったんです。
明るく活発で、勉強にも意欲的なお子さんは、父親とのコミュニケーションが密なことが多いの。
お父さんと一緒にご飯を食べたり、遊んだり、勉強したり……そういう何気ない時間こそが、子どもの自己肯定感・社会性・仕事・合理性など「現実を生きる力」を育むんですから。
娘さんが「とりあえず」を頑なに嫌う理由もハッキリしましたわ。
お母様の仕事に対する姿勢と感謝のなさです。
「自分は何もできない。才能がない。能力もない」と卑下しながら、パート先をコロコロ変える。何もできない自分なのに、採用してもらおうとはするわけだ。
厚かましいにもホドがあるわよっ!
で、期待されたり、仕事を増やされたりするのが嫌で、すぐに辞めちゃうんだって。
そりゃあね、「とりあえず」で働き始めて、嫌になったらポイッと辞める。そんなお母さんの姿をずっと見て育ったら、娘だって「こんな風には絶対になりたくない!」って思うわな。
占い師:「野宿してるわけじゃないでしょ?今朝だってご飯食べたでしょ?ここまで自家用車を運転してきたじゃないですか。世の中には、体が不自由で車の運転すらできない人だっているんですよ」
母親:「そんなの当たり前じゃないですか。朝食だって、たいしたもの作ってないし。身近に車がない人とか、体の不自由な人なんていないから、想像もできないです」
「足りない」を知らず、「ありがたい」も知らない。自分がどれだけ恵まれているかにも気づかず、感謝もない。
「私はできない」「私は無能」と口先だけで逃げて、誰かのために力を尽くすこともしない。
そうなると、娘に何の説明もなく離婚を強行突破するような、傲慢で独りよがりな人間になっちゃうのよ。
【お母様への処方箋】
- まず、娘さんに謝りなさい!:離婚のとき、何の説明もせず、親の都合だけで人生を勝手に変えてしまったことを、心から謝罪すること
- 娘さんが望むなら、今すぐお父さんに会わせなさい:進路について、父親としての意見を聞かせてあげて
- 与えられていることすべてに感謝しなさい
- 金輪際、愚痴・不平・不満・泣き言・悪口を言うのは禁止だ!
- 職場で、自分ができることを精一杯やりなさい!:できないことにも挑戦するの
相変わらずぽやぁ~としている。聞いているのか?いないのか?
パパもママも、ご機嫌さんでイキイキと働いてごらんなさいな。
その楽しそうなエネルギーを感じれば、お子さんだって「働くのって、なんだか面白そう!」って、希望を持って社会に飛び込んでいけます。
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