こんな心が傷むことは、二度とやりたくない
実は、ぼくが「妻が喜んでいる姿を見ることが嬉しい」と、思っている理由は、「人生で一度だけ、女性を殴った」という、原体験が起因しています。
その女性とは、母親でした。
殴ったと言っても、背中ではあるのですが、その出来事はぼくが高校1年の時代におきました。
ぼくが中学3年生になる頃から家庭環境はどん底に向かいます。父親が商売をしていたのですが多額の借金を背負うことによって廃業。明日、食べるものがないくらいに、苦しい生活が続きました。
高校に入ってからもその貧しさは続きます。公立高校に進学しましたが公立の学費を払うこともままならないくらいに家庭の経済は火の車でした。
なので、ぼくは毎朝3時に起きて新聞配達のバイトをすることに。夕方のクラブ活動が終わってからは、週4~5日くらいのシフトでうどん屋さんでバイトしていました。そのバイト料で、自分で学費を払って学校に行っていました。
それでも家庭は火の車だったので、バイト代を親に渡すこともしばしば。でも家計は悪化するばかりで、気がつけば机の引き出しに入れていたバイト料を何も断りもなく取られることもあったりなど。
そんなことも度々あって友達と旅行や遊ぶ約束をしたのに「ごめん、行けなくなったわ」と、ドタキャンすることも多かったのです。
それが続いたことで友人から「なんやねんお前!ほんまノリ悪いなぁ!お金くらい、親に借りろや!!」と言われたことで、衝撃を受けます。
「お金って、親に借りれるもんなんや……。ありえへん。こいつらに俺の気持ちがわかるわけないわ」と、次第の友達からも離れていくようになり、誰ともかかわらずに、孤立するようになっていきました。
そうやって、親も、友達も、誰も信用しないと心に決めたあるとき。
毎日のように夫婦喧嘩をしていた親を見ながら抑えきれない怒りが湧き上がってきました。