こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
子どもを感情のはけ口にする毒親たち
子どもに対して、子どもの個性や意思に関係なく、親の都合で一方的に「達成目標」を設定し、その達成を「責務」として無理やり背負わせる親がいます。
そうした行為をする親の多くは、自分のなかに抑圧された劣等感や罪悪感、無価値感を抱え込んでいることが多く、それらの劣等感や罪悪感、無価値感を、子どもを使って解消しようと目論んでいたりします。
「子どもが親の感情のはけ口」になっているのです。
そうであるにも関わらず、悩ましいことに、親自身は「子どものためによかれと思って、心を鬼にしてやっている」と信じ込んでいるケースは少なくありません。
今回はこうした養育環境の影響から、大人になって悩みを抱え込むこととなった事例を紹介します。
Gさん(50代・会社員・男性)のケース
Gさんの両親は教師で、幼いころから勉学に関して相当厳しく叩き込まれたそうです。
どれくらい厳しかったかというと、テストで100点以外を取ると、たとえそれが99点だったとしても、目の前で答案用紙をビリビリと破かれ、正座をさせられて反省の弁を延々と述べさせられる、といったような…。
そして中学生になったころに突然、「お前は東大以外には行かせない」と親に宣言されます。
流行っていたテレビゲームはもちろん、漫画も部活も、とにかく学業以外はすべて親にシャットアウトされて育ったGさん。
親に対して何度か抵抗を試みるのですが、抵抗すると倍返しどころか、十倍返しくらいの勢いで、両親から畳みかけられるように理づくめで徹底的に言いくるめられるため、高校生になることにはGさんは抵抗することを諦めます。
その後、頑張って実際に東大に入り、これでやっと親から解放されると思いきや、親からの期待・要求は止まりませんでした。
今度は「お前は官僚になれ!」と、入学早々に突然宣言されたのです。
自身の将来の進路を決められたことへのフラストレーションや、官僚にならなければならないことへのプレッシャー、友人関係がうまくいかないことの悩みなどから、Gさんは在学中に若年性うつと診断され、一時的に休学します。
それでも頑張って親の言う通り国家公務員となり、中央官庁に勤めます。さらには親の勧めでお見合いをし、その後結婚します。